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色素性乾皮症は、日光に過敏に反応して皮膚の乾燥やしみなどが生じる遺伝性の難病で、日本には500~600人の患者がいると推定されている。早期に診断を受け、幼い頃から日光を避けて生活する必要があるが、神戸大学医学部付属病院皮膚科診療科長の錦織千佳子医師は「発症はまれで認知度が低いため、親は子どもの激しい日焼けやしみ、そばかすを体質だと思い、すぐに受診しないことが多い」と危惧する。
色素性乾皮症には8タイプ。それぞれに特徴がある
▽若年から皮膚がん多発
色素性乾皮症には、A~G群およびⅤ型の8タイプがあり、タイプごとに症状は異なる。A群は、生まれた直後から5分ほどの日光浴でも顔や手足が赤く腫れあがり、皮がめくれて水膨れができる。3~4日後をピークに10日~2週間後に治まるという激しい日焼け反応が見られる。また、10代半ば頃までに運動機能などの神経症状や知能、精神の障害が進む。
一方、Ⅴ型やC群のように、子どもにしてはしみやそばかすが多いものの、日焼け反応や神経症状がほとんど表れないタイプもある。
どのタイプも日光によって生じた遺伝子の傷を修復する仕組みが壊れることで発症する。「病気に気付かず日光を浴び続けていると、通常より30~60年早く、若いうちから顔や腕、手の甲を中心に皮膚がんが多数生じます」と錦織医師は説明する。
▽早期から厳格な遮光を
一般的に、健康な人でも皮膚がんの発症には、子どもの頃に日光に当たった量が大きく影響する。そのため、幼い時から遮光は必要だが、色素性乾皮症の患者の場合は特に厳重に行わなければならない。具体的には〔1〕つばの広い帽子、紫外線カット用眼鏡、マスク、手袋、長袖・長ズボン、日焼け止めなどの利用〔2〕基本的に日照時間内の戸外活動の禁止(戸外に出る際は遮光頭巾を着用)〔3〕窓越しの紫外線を予防する遮光フィルム・カーテンの使用―などだ。「早期の診断に基づき、直ちに遮光を始めることが重要です」と錦織医師。
しかし、激しい日焼け反応が生じるA群でも、最初から病院を受診するケースは少なく、病気とは考えず自己流の遮光で様子を見る人が大半だという。まして日焼け反応がほとんどないC群やⅤ型だと、他の子と同じように戸外で過ごしており、皮膚がん発症後に色素性乾皮症と診断されることもある。錦織医師は「日焼け反応が激しい子ども、就学前までにしみやそばかすができ年々増える子どもは、経過が分かる写真を撮り、すぐに皮膚科を受診してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/04/24 05:00)
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