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「目元がぴくぴくする」という症状の多くは疲労などによって生じる一過性のものだが、表情筋の運動をつかさどる顔面神経が圧迫されて生じる顔面けいれんは、不快な症状だけでなく、人目が気になって生活に支障を来すこともある。顔面けいれんの特徴や診断、治療について東京女子医科大学東医療センター(東京都荒川区)脳神経外科の糟谷英俊教授に聞いた。
目元と口元がぴくぴくする、片側だけに表れるのが特徴
▽血管が神経を圧迫
顔面けいれんは、顔の片側だけに表れるのが特徴だ。「目元だけでなく口元も同じリズムでぴくぴくする場合は、顔面けいれんの可能性があります」と糟谷教授は説明する。常時起こるケースもあれば、人前に出るなど緊張したときに起こりやすいケースもある。一般的には疲れやストレスなどで強まりやすい。
原因は、頭蓋内を通る顔面神経に血管が当たることによる圧迫で、過剰な興奮からけいれんの症状が表れると考えられている。特徴的な症状から、ほとんどは視診で診断がつく。さらに脳の磁気共鳴画像(MRI)検査で神経と血管の位置関係を確認し、顔面神経に当たっている血管を特定する。
▽二つの治療法
顔面けいれんは神経が損傷していないので、手術で圧迫を取れば根治が可能だ。耳の後ろの皮膚を7センチほど切開し、頭蓋骨に直径2~3センチの穴を開けて、圧迫している血管を顔面神経に当たらないように移動して固定する。手術後、すぐに症状が消える人もいるが、しばらく症状が残る人も同じ程度いるという。「当センターでは、症状が消えるまでに最長3年かかった人がいますが、いずれも治りました」
もう一つの治療法は、神経まひを起こすボツリヌス毒素製剤を症状のある筋肉に注射してけいれんを抑えるもの。比較的安全で手軽な治療法だが、効果が3カ月ほどでなくなるため、繰り返し受ける必要がある。
「顔面けいれんは命に関わる病気ではないため、症状があっても気にならなければほっておいても問題はありません」と糟谷教授。ただし、ごくまれに脳腫瘍などの病気が潜んでいる場合がある。「気になる症状があれば、一度は脳神経外科を受診してMRI検査を受けるとよいでしょう」と勧めている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/11/27 05:00)
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