治療・予防

息切れ、せきが悪化
~間質性肺炎(東邦大学医療センター大森病院 坂本晋准教授)~

 間質性肺炎は一般的な肺炎と異なり、「肺胞」という袋状の組織の壁「間質」に炎症が起こる病気。高齢の患者が多く、せき息切れが徐々に悪化して生活の質が低下し、命に関わることもある。東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)呼吸器内科の坂本晋准教授に話を聞いた。

間質性肺炎

 ◇着替え程度で息切れ

 肺は肺胞と呼ばれる小さな袋が集まり、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出している。「肺を『ブドウの房』と見なせば、『粒』が肺胞、粒を包む『皮』が間質です」

 間質性肺炎では、「何らかの刺激による肺の障害に対して異常な修復が繰り返された結果、『皮』が硬くなる線維化が生じます。その結果、肺胞が膨らみにくくなり、酸素を十分に取り込めなくなります」

 主な症状は体を動かしたときの息切れやせきで、進行すると着替えなどの軽い動作でも息切れする。病状は徐々に進行することが多いが、急性増悪(ぞうあく)が起き命を落とすこともある。

 原因不明の「特発性」が多いが、原因が明らかなものとしては、関節リウマチを含めた膠原(こうげん)病、住居のカビ、飼っている鳥、加湿器内で増殖した雑菌、薬剤、放射線治療などがある。

 特発性間質性肺炎も、病気の状態などから九つの病型に分類される。最も頻度が高い特発性肺線維症の有病率は、人口10万人当たり10人で、特に60~70代の喫煙男性が多い。

 薬物治療など包括的に

 カビや鳥、薬剤のように原因が明らかな場合、原因を除去することで症状が良くなることがある。そのほか、薬物療法と、呼吸困難を改善するための呼吸リハビリテーション、体重減少対策の栄養指導などが行われる。

 薬は、間質性肺炎のタイプに応じて、抗炎症薬であるステロイド薬か、線維化を抑える抗線維化薬を選択する。現在使用可能な抗線維化薬は2種類あり、いずれも呼吸機能が時間とともに低下するのを防ぐ。副作用として下痢食欲不振、肝機能障害、日光過敏性などがある。

 坂本准教授は「抗線維化薬は目に見えて症状を改善するものではありませんが、進行を遅らせる効果が期待できます。栄養やリハビリを含め、治療を続けてください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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