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新型コロナウイルス、インフルエンザウイルスの他に流行が警戒される病原体に、高齢者の肺炎の主な原因である肺炎球菌がある。富山県衛生研究所(富山県射水市)の大石和徳所長は「肺炎球菌感染症はワクチンで予防可能なので、接種を検討するとよいでしょう」と話す。
高齢者の肺炎球菌ワクチン接種
◇原因の「肺炎球菌」
インフルエンザに罹患(りかん)した後、肺炎球菌に感染し肺炎になることもある。菌が血液などに入ると、命を脅かす重篤な感染症になる。65歳以上の高齢者、心臓や呼吸器などに基礎疾患がある人はリスクが高い。
「既に複数の肺炎球菌ワクチンが実用化されています」。肺炎球菌は、血清型と呼ばれる細胞表面の目印によって100種以上に分類される。うち頻度が高い23種をカバーする「23価ワクチン」の接種により、重篤な感染症が40%程度減少する。
副反応は、接種した部位の痛み、腫れ、全身の発熱などで、おおむね軽度だ。ワクチンで増えた血液中の抗体は経年的に減少するので、一定期間を空けて再接種する。
2014年から高齢者に対する肺炎球菌ワクチンが定期接種になった。対象は、年度内に65~100歳の5歳ごとの年齢に達する人と、60~64歳で心臓や呼吸器などに基礎疾患がある人。費用の一部に公費助成がある。
◇接種率向上が必要
しかし、接種率は40%以下にとどまる。その理由として大石所長は、ワクチンの効果があまり知られていないこと、費用の自己負担があることを挙げる。
富山市や同県高岡市では、地元の医師会とともに、ワクチン接種を実施している医療機関で啓発ポスターを掲示する取り組みを行い、自治体から接種券を受け取った人のワクチン接種を後押ししている。
「ワクチンがカバーしない血清型への対策という課題は残りますが、接種によって重篤な感染症を予防できることは確かです」と大石所長。他のワクチンとの接種間隔については、かかりつけ医に相談するとよい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/03/12 05:00)
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