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静脈奇形は血管腫・血管奇形という難病の一つだ。治癒は難しく、病状などに合わせた治療が行われる。今年から新たな内服薬が使えるようになるなど、選択肢は広がってきている。岐阜大学医学部付属病院(岐阜市)小児科の小関道夫臨床准教授に病気の特徴や治療法などについて聞いた。
皮膚の下などに静脈の塊ができる
◇一生気付かない例も
静脈奇形は、生まれつき静脈が海綿状や袋状に膨らんで血液がたまることから海綿血管腫とも呼ばれる。全身のどこにでも生じるが、頭頸部(けいぶ)が最も多い。皮膚のすぐ下の他、筋肉や骨などに生じるケースもある。患部が皮膚の表面近くだと青紫色になっているのが見て分かるが、体の内部だと気付きにくい。
「小児期は無症状のまま経過する例が多いですが、成長に伴って病変も大きくなり、出血して痛みが出たり、細菌感染を起こしたりする場合もあります。通常、自然には消失しませんが、小さく、体の内部にある場合は、一生気付かずに過ごす人もいます」と小関臨床准教授は説明する。
発症原因については血管を作る遺伝子の異常とされるが、なぜ異常を来すかは不明だ。
◇新たな内服薬
診断は血液検査、画像検査などで行う。静脈奇形では、血栓があると増えるとされるDダイマーという物質の値が高くなる人が多い。大きさや広がりは超音波、MRIなどの画像検査で調べる。
治療法はまだ確立されておらず、病変の大きさや場所、日常生活への影響、患者の年齢などを考慮した対症療法が中心だ。
病変が小さく、できた場所が限定されているなど、切除が可能であれば手術が適応となる。こぶし大ほどの大きな病変や、正常な組織との境界が不明瞭であれば手術が難しく、硬化剤を注入して縮小させる硬化療法(公的医療保険適用外)が行われるケースが多い。弾性ストッキングで患部を圧迫して血液の貯留を減らしたり、痛みを緩和したりする保存療法も行われる。
さらに1月から、過剰な細胞増殖や異常な血管の形成に関わる遺伝子の働きを抑える内服薬、シロリムスが使えるようになった。
小関准教授は「静脈奇形は今のところ治癒が難しく、治療を諦めてしまう患者さんが少なくありません。しかし、治療選択肢も増え、病勢を抑えることは可能です。日常生活では患部の安静、冷却などを心掛け、自分に合った治療を続けながら、病気と上手に付き合うことが大切です」と話している。
日本血管腫血管奇形学会のウェブサイトでは静脈奇形の診療を行っている医療機関を紹介している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/08/20 05:00)
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