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市販のミックス粉で作るパンケーキやお好み焼き、たこ焼きは、家庭で手軽に調理できて重宝するが、摂取後に全身性のアレルギー症状が表れるケースがある。ミックス粉に混入したダニが原因で「経口ダニアナフィラキシー」、通称「パンケーキ症候群」とも呼ばれる。症状や予防法を近畿大学医学部(大阪府大阪狭山市)小児科学教室の竹村豊医師に聞いた。
開封したミックス粉は長時間常温で保存しない
◇袋の中でダニが増殖
ホットケーキミックスに限らず、お好み焼き粉、たこ焼き粉などの味付き小麦粉は、小麦粉単体よりもダニなどのアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)の増殖が早い。「開封したミックス粉を常温で1カ月以上保存していると、袋の中でダニが増えやすく、賞味期限内でも発症するケースがあります」
発症すると摂取後30分以内に、皮膚が赤く腫れたり、せきが出て息苦しくなったり、下痢や吐き気などの症状が出る他、血圧が急に下がって意識レベルが低下するなどの急激な症状により時に死に至る例もある。これらの症状は「アナフィラキシー」と呼ばれる。
「もともとダニアレルギーのある方が、増殖したダニに気付かず調理して食べてしまうと、アナフィラキシーによるショックを起こす危険があります。こうした症状が出た際は、ためらわず救急車を呼びましょう」
年中、鼻水やせき、目のかゆみがあればダニアレルギーの可能性があり、「日ごろから、パンケーキ症候群に関する正しい知識を持っておくことが大切です」
◇開封後は冷蔵庫保存
特徴は、急な症状の悪化だ。「アナフィラキシーまでには至らなくても何らかのアレルギー症状が出れば、すぐに医療機関の受診が鉄則です」
アレルギー検査でダニアレルギーを確認し、小麦アレルギーではないこと、摂取したミックス粉の中にダニがいることが診断の決め手になる。重症度に応じて、筋肉注射などの適切な治療を受ければ、通常2~6時間で回復する。
発症を防ぐには、食品中にダニやその成分を増やさない点が大切だ。ダニの死がいやふんもアレルゲンになり、加熱しても消失しない。
「ミックス粉は開封後、長時間の常温保存を避けてください。1回で使い切るのがベストですが、どうしても残る場合は、密封できる袋に入れて冷蔵庫で保存しましょう。それだけで発症リスクをゼロに近づけられます」と竹村医師は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/08/27 05:00)
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