一流に学ぶ 「美と健康」説くスポーツドクター―中村格子氏

(第4回)
「子どもが欲しかった」
9年間の結婚生活に終止符

 「私がずっと独身だと思っている人もいますし、誰かすてきな男性と結婚してるんだろうと思っている方もいますが、バツイチなんです。人並みにつらい経験もたくさんしてますよ」。中村格子氏は屈託のない笑顔で話す。結婚したのは33歳の時。相手は老舗の一人息子の実業家。知人の紹介でアルバイトの非常勤医師として働いた関東地方のある医院の院長が仲を取り持ってくれた。

 「ゴルフがすごく上手でかっこよくて。将来結婚するならスポーツマンがいいと思っていたので、すぐに結婚してしまいました」

 新居を構えた土地ののどかな環境は、東北地方で幼少期を過ごした中村氏にとって、懐かしい光景だった。

 「久しぶりにトンボが飛んでいるのを見て、子どもを育てるなら、こういう所ですくすく育てたいなと思って。何歳までに子どもを産んで、こんな学校に通わせて、こんなふうに育てようと、どんどん想像が膨らんでいきました」

 整形外科医の仕事は週1~2回に減らし、妊娠、出産、子育てに向かう準備を着々と進めていた。

 「うちの母も嫁ぎ先のお姑(しゅうとめ)さんも、みんなが『産んだら協力するよ』って言ってくれて、とても恵まれた環境でした。でも、なかなか子どもができなくて」

 結婚後の2001年9月11日に米同時多発テロが発生、日本国内でも株価が暴落し、多くの企業の経営に影響があった。夫の家業も大打撃を受け、家庭にも暗い影が差した。

 「夫の仕事が順調ではなくなり、日常のすべてが崩壊した感じになりました。夫はもともとは明るく楽しい人で、大好きでした。よくゴルフの練習やドライブにも連れて行ってくれました。でも、本当に困ったときに人は変わってしまうんですね。お金のこと、言葉や体の暴力など、とてもつらい経験でしたけど、私の人生の中ではいい経験をしたなと今は思うようにしています」

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