一流に学ぶ 「美と健康」説くスポーツドクター―中村格子氏

(第8回)
「大人のラジオ体操」がブレーク
震災支援で浮かんだアイデア

 スポーツドクターとしての中村格子氏の存在が全国的に知れ渡るきっかけとなったのは、2012年に出版した7冊目の著書「実はスゴイ! 大人のラジオ体操」だ。中村氏が体育大学の学生とともにデモンストレーションをするDVDが付録で付いている。

 出版の発端は、中村氏が新体操の世界選手権に出場した日本代表チームに帯同した時のこと。元新体操選手の秋山エリカ氏(現東京女子体育大学教授)が個人演技に出る選手たちに、試合会場で一斉にラジオ体操をさせている光景が目に留まった。

 「ロシアのコーチや選手たちはラジオ体操のことを知らないから、『何やっているんだろう』って笑っていました。秋山先生は『東京女子体育大学の教職課程ではラジオ体操が必修になっていて、ちゃんとやると学生たちが汗を流してヒイヒイ言う大変な体操なんです』とおっしゃって。私もすごくいい体操だと思っていたので、いつか伝える機会があるといいなって思いました」

 翌年の2011年3月、東日本大震災が発生し、中村氏は日本オリンピック委員会(JOC)の災害医療支援チームの一員として、岩手県大船渡市の避難所に派遣された。

 「お寺に泊まって避難所に通い、臨時の保健室を開いてけがの手当てや健康相談に乗ったりしました」

 その時、前から気になっていたラジオ体操のことがふと頭に浮かんだ。

 「ラジオ体操なら避難所でも畳1畳のスペースがあればできる。しかも、何も道具はいらない。今のラジオ体操も、元をたどれば、戦後の貧しい時代に家の中や外でみんながやっていたもの。いつでもどこでも誰でもできるようにつくられている、ものすごく強い体操だなと思ったんです」

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