一流に学ぶ 天皇陛下の執刀医―天野篤氏
(第17回) 天皇陛下の執刀医に =片付け中、1本の電話
「珍しく部屋の片付けをしていたら電話がかかってきたんですよ」。2012年2月10日午後3時ごろ、学校法人順天堂の理事長からだった。天野氏が「ここへ電話するように」と伝えられた連絡先は、皇室の医務を統括する宮内庁皇室医務主管。電話すると、天皇陛下の心臓再検査に先立ち、前年の検査結果を東大病院まで見に来てほしいと依頼があった。
「11年の検査の時も、順天堂理事長経由で緊急の場合の対応をお願いするかもしれないと連絡を受けていた」と天野氏。「だから、また連絡を受けた際にも、それほどびっくりはしなかったんです。陛下に手術が必要になることがあれば、自分が執刀する可能性もあると思っていました」
天野氏は新東京病院に勤務していた頃から、東大病院循環器内科の永井良三教授(現・自治医科大学長)と付き合いがあり、紹介患者を多数手術してきた。そうした経緯もあり、天野氏に声が掛かったという。
再検査の結果、陛下の冠動脈3本のうち2本に狭窄が見られた。薬物療法を続けても症状が進行しており、英国訪問も踏まえると早急な治療が必要だった。天野氏ら医師団で検討した結果、冠動脈バイパス手術が有力な選択肢になったという。
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(2017/03/13 11:16)