こちら診察室 タンパク質にまつわる栄養の話

サプリメントは必要か?
~さまざまな形態で流通~ 第8回

 昨今、世の中にはサプリメントと呼ばれるような商品が数多く流通しています。そこで前回、食品の分類について解説する中で、サプリメントには決まった定義がないことや国の機関によるチェックがされていない商品、国の規定に当てはまらない商品も存在することを紹介しました。今回は、「タンパク質をサプリメントで取った方がよいのか」という皆さんの疑問について考えたいと思います。

 ◇タンパク質に特化した食品

 まず、皆さんがスーパーやドラッグストア、スポーツ用品店、さらにはコンビニで手にできるタンパク質が強化されている食品やタンパク質を摂取するために作られた商品を思い出してみましょう。あまりにも多くの商品が出回っているため、整理して考えるのが難しいかもしれませんが、表1に世の中の商品に含まれるタンパク質の種類を示しました。

タンパク質の種類・特徴・具体例

タンパク質の種類・特徴・具体例

 タンパク質は、プロテイン、ペプチド、アミノ酸として抽出・加工され、パウダータイプやタブレットタイプに凝縮・加工されて商品となっていたり、ドリンクやゼリー、ヨーグルトなどに強化されていたり、プロテインバーやプロテイン強化カップラーメンとして販売されていたりと、消費者の手に届く頃にはさまざまな形態になっています。そうした形態を全て紹介するのはとても難しいので、その前の状態であるプロテイン、ペプチド、アミノ酸について簡単に説明します。第1回のコラムで、「タンパク質は、たくさんのアミノ酸がペプチド結合でつながった高分子化合物です。その構造は、アミノ酸が2個以上結合したものがペプチド、アミノ酸が約80以上結合したものがタンパク質です」と栄養学的に解説しましたが、今回は食品や商品としての特徴を捉えてみましょう。

 ◇食品・商品の特徴

 ●プロテイン

 栄養学的にはタンパク質として存在しているものを商品化したタイプです。プロテインという名前は、かなり有名になりました。実際に商品を手に取って、裏の表示部分を見てください。ホエイプロテイン、カゼインプロテインと書いてあったら、牛乳由来の動物性タンパク質です。

 ホエイプロテインは、ホエイを主成分としています。乳清タンパク質とも言われ、牛乳のタンパク質の約20%に当たります。例えば、ヨーグルトの上澄み液などのように液体状で存在しています。カゼインプロテインに比べて吸収速度が速いこと、筋力アップに影響するアミノ酸を含むことなどが特徴です。

 カゼインプロテインは、牛乳のタンパク質の約80%を占めている固形成分であるカゼインを主成分としています。ホエイプロテインに比べて吸収速度が遅いため、睡眠時など、ゆっくりと持続的に吸収したい時に適しています。

 一方、ソイプロテインは、大豆由来の植物性タンパク質を主成分としています。消化吸収がゆっくりですので、腹持ちがいいことが特徴です。牛乳が苦手な方で、ホエイやカゼインプロテインが取りにくい場合は、ソイプロテインの利用を検討するのもいいかもしれません。

 ●ペプチド

 ペプチドのサイズまでタンパク質を分解して、商品に使われています。表にも示しましたが、ペプチドは元となるタンパク質や食品の種類によってその働きも異なり、由来する食品にちなんだ名前が付けられたりしています。ペプチドの機能性については、多くの研究がされていて、科学的に明らかになっている効果もたくさんあります。そのため、効果効能のあるペプチドを利用した商品の中には、トクホのマークの認められた商品もあります。例えば、イワシペプチドやゴマペプチドを利用したものは、血圧降下作用の認められた商品として店頭に並んでいます。

 ●アミノ酸

 最も小さなサイズで存在しているのがアミノ酸です。これも第1回のコラムで、アミノ酸の種類について紹介しました。アミノ酸もその種類によって働きが異なりますので、詳細は改めて別の機会に解説させていただきたいと思います。ただ、アミノ酸が含まれる商品やアミノ酸そのものは、さまざまな形態で売られています。いずれも、消化吸収が速い特徴を持ち、アミノ酸のパウダーやタブレットタイプだけでなく、アミノ酸飲料として流通している物は利用しやすいようです。

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