こちら診察室 知ってる?総合診療科

第2回 どのような道筋で診断するのか
「教育」に新たな役割 ~総合診療医の出番です~

 ◇治療可能かどうか 

 「治療可能」は別方向の軸と言えます。つまり診断がつけば治療法が確立しているかどうかです。 

スタッフが知識や経験に基づいて症例検討するカンファレンス=東京都新宿区の東京医大病院

 例えば、一般に風邪と呼ばれる咽頭炎の9割はウイルスが原因と言われています。したがって抗菌薬は効きませんが、通常短期間で自然治癒します。しかし、中には細菌の一種である溶連菌が原因の場合があります。 

 短期の自然治癒は期待できないので、抗菌薬で治療しなければなりません。つまり溶連菌感染かどうかを診断する必要が十分にあるわけです。これが治療可能かどうかを考える軸で治療の可能性や必要性が評価できます。 

 逆に抜本的な治療の方法がない疾患では、患者自身の免疫力などによる自然治癒の可能性、そのために必要な時間を考えながら、症状の緩和のための治療も検討します。

 ◇難題な「研究」の役割 

 このような臨床推論に基づく診断学を教育する役割が総合診療科にあります。 

東京医大病院の敷地内にある教育研究棟=東京都新宿区

 しかし現時点では、(1)総合診療科の教員が多くはない(2)大学病院を受診する患者の疾患の多くが一般診療でよくみられる一般的な疾患とは異なる-ことなどから、研修医も学生も地域の医療機関で研修や実習をすることが多くなっています。 

 大学病院の総合診療科にとってより難題なのが「研究」の役割です。 

 そもそも、研究とはより専門分化した詳細なメカニズムを明らかにすることを目的とするケースが多いです。しかし、総合診療科では細分化される前の段階の患者を対象にしているため、臓器別専門科とはさまざまな違いが生じます。 

 ◇変貌する医療教育 

 その中の一つが、3Cをどう活用していくかなどを学生に身につけさせる「教育」に関する研究です。 

 最近は医学教育学が大きく変貌。医学教育に関する専門の講座ができています。総合診療科の医師がそうした講座でも研究・教育しているケースが多いようです。 

 また、ある地域や会社の健康診断によるデータを収集して解析するなど社会医学的な研究をする医師もいますし、感染症領域や漢方医学の研究をしている医師もいます。 

平山陽示教授

 いずれにしろ、総合診療医学が大学に残っていくにはどのような研究を進めていくかが大きな課題のひとつであろうと思われます。(東京医科大学臨床教授 平山陽示)

平山陽示氏(ひらやま・ようじ)
1984年東京医科大学卒。88年米国ミシシッピー州立大学生理学教室留学。東京医大第2内科講師、准教授など経て2012年臨床教授。11年東京医大病院総合診療科科長、12年から20年まで卒後臨床研修センター長兼任。2000年から禁煙外来を担当している。循環器専門医、プライマリ・ケア認定医・指導医、禁煙専門医、産業医。

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