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【知ってる!総合診療科2】どのような道筋で診断するのか
「教育」に新たな役割 ~総合診療医の出番です~

 ある症状を訴えて病院に飛び込んできた患者、プライマリ・ケア医や臓器別の専門医が診察してもなかなか診断がつかない患者をどうやって診察し、原因となる疾患や臓器を絞り込んでいくか。総合診療医に魔法が使えるわけではありません。基本的には、問診とさまざまな検査結果の評価、そしてさまざまな専門や職種で構成されるスタッフ同士が自分の知識や経験に基づいて意見をぶつけ合うカンファレンスを積み重ねていくだけです。 

「3C」と呼ばれる症候学三つの軸

 ◇「3C」と呼ばれる三つの軸 

 このカンファレンスで基本になるのが「症候学」です。「診断推論」や「臨床推論」とも言います。あまり聞き慣れない言葉でしょうが、患者の症状からどのような道筋で診断を考えていくのかを主な目的としています。 

 実際の診療では非常に大きな役割を果たすので、紹介します。診察を受ける際、医師側がどのような論理に従って診察や検査をするのか、それがなぜ必要なのか。患者側も知ることで診療時の不安や疑問をある程度解消できるからです。 

 この臨床推論には、診断を考える時に重要な「3C」と呼ばれる三つの軸が提唱されています。3Cは「Critical(緊急的)」「Common(一般的)」「Curable(治療可能)」の頭文字を並べたもので、非常に役に立っています。 

想定される疾患を次々に消していく

 ◇該当すれば一大事 

 具体的な症例で考えてみましょう。胸の痛みを主な症状として受診した患者について、まず「緊急的」な疾患かどうかの鑑別を優先します。この場合想定される疾患としては、心筋梗塞などの急性冠症候群、大動脈解離、肺動脈血栓塞栓症、緊張性気胸、食道破裂の五つがあります。 

 これらの疾患は生命の危機に直面していることを意味し、一刻も早く治療を始めます。 

 該当すれば一大事。異なれば、ある程度ゆとりを持って診断が付けられる、ということになります。ですから、この五つの疾患でないことを確認するという除外診断を最初に行うわけです。 

 ◇確率論から考える 

 次に肋骨(ろっこつ)や神経・筋など胸壁由来の痛みや、逆流性食道炎など消化器疾患といった「一般的」な疾患かどうかを考えます。胸痛を訴える患者の多くがこれらの疾患ですから、目の前の患者も、こうした病気である確率は高くなります。 

 緊急を要しないことを確認した後は、確率論的な考えに切り替えて鑑別診断を進めます。まれな、つまり患者数の少ない疾患かどうかを考えるのは、その後です。  

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