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【知ってる?総合診療科3】全医師に必要な「総合力」 
大学病院の役割と教育 ~総合診療医の出番です~

 地域のクリニックや病院で活躍していることが多い総合診療医ですが、「総合診療科」という独立した診療科があるのは大病院です。大病院はそれぞれの分野の専門科があるのに、なぜ、「総合診療科」が必要なのでしょうか。多数の専門科を持つ大学病院を例に考えてみましょう。 

東京医大病院。1階真正面に総合診療科への入口がある=東京都新宿区

 大学病院の役割は、一般的に三つの大きな柱があるといわれます。実際に患者を診療する「臨床」と「教育」「研究」です。総合診療科の役割をこの三つそれぞれに分けて考えます。 

 ◇原因不明な救急 

 まず臨床です。専門分化している大学病院では、受診した患者を最初に診療する「プライマリ・ケア」を総合診療科が担当します。ただし、歩いて来院される初診患者を診る場合と、救急車で搬送されてくるような救急医療の場合では、同じ初期診療でも異なります。 

 救急医療の患者は大まかに言って、自力で救急外来を受診する患者を1次、救急車で搬送されて受診する患者を2次、心肺停止や多発外傷といった特に緊急を要して救急車で運ばれてくる患者を3次に分類します。 

 このうち3次の場合は救急外来ではなく救命救急センターのような部署で救急専門医が担当します。3次救急に関わっている総合診療医もいますが、多くは1次や2次救急で急な高い発熱や激しい嘔吐(おうと)など、原因疾患が分かっていないまま受診・搬送された患者を担当する比率が高いでしょう。 

疾患の診断がついていないと大学病院でも最初に総合診療科が担当

 ◇紹介状があっても… 

 現在では大学病院などを受診する際には基本的にプライマリ・ケア医の紹介が前提になります。この場合、多くは循環器内科や血管外科など細分化された診療科を直接受診します。 

 患者の全てが地域のプライマリ・ケア医に正しく診断されて、詳しい検査や専門的な治療を目的に臓器別診療科に紹介されるのならば、大学病院の臨床における総合診療科の役割はほとんどないかもしれません。 

 しかし、「近くのクリニックでは不安だ」などの理由で紹介状を持たずに大学病院を受診される患者さんも多くいます。また、プライマリ・ケアの紹介状があっても「原因の分からない不明熱」ではどの診療科を受診させるべきか分かりません。 

 このような患者は、臓器別診療科の疾患としての診断がついていないとして、大学病院でも最初に総合診療科が担当します。

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