木谷照夫 医師 (きたにてるお)

堺市立総合医療センター

大阪府堺市西区家原寺町1-1-1

  • 血液内科
  • 名誉院長

血液内科 内科

専門

慢性疲労症候群

木谷照夫

木谷照夫医師は慢性疲労症候群の研究では日本の草分け的存在である。1990年に日本初めて症例を報告し、当初から「30代の働き盛りで発症する人が多い。疑わしいときには早めの受診を」と訴える。厚生省(当時)の疲労研究班の班長を務め、診断基準づくり、疫学調査に携わり、病因・病態の解明に向けさまざまな活動が行なっている。慢性疲労症候群は一度かかると治りにくい病気であり、周囲の病気への理解が少なく、なかには"怠け病"と思われ、そのため更に病状が悪化するケースも多い。木谷医師は「治療には社会的な理解が必要である」という。

診療内容

原因不明の激しい疲労感が半年以上続く慢性疲労症候群(CFS)。1930年代以降、欧米などで集団発生か相次ぎ、長く「謎の病気」と考えられてきた。木谷医師は1990年に日本で初めて症例を報告。以来、厚生省(当時)の疲労研究班の班長を務め、診断基準づくりに携わり、病因・病態の解明に向けたさまざまな活動が行なっている。
慢性疲労症候群の主な症状には「強い疲労感」「筋肉痛」「関節痛」「頭痛」「咽頭痛」「リンパ節肥大」「睡眠障害」「精神障害」「脳機能障害」などが挙げられるが、これらはおもな症状で、そのほかにも多くの症状がみられる。診断に当たっては、通常の臨床検査では異常は見られず、そのため詳しい問診が大切である。疲労感・微熱などの10項目の症状と期間をチェックし、そのうち5項目以上が6カ月以上続いていることが必要である。自律神経の機能、睡眠リズム、血液中の活性酸素などを調べる検査を行うこともある。
慢性疲労症候群の原因はまだはっきりとわかっていないが、ウイルスなどの感染や過度なストレスがきっかけとなり自己免疫力が低下し、体内に潜伏していたウイルスが再活性化し病気のきっかけとなる。これらのウイルスを抑え込むために、体内で免疫物質が過剰に作られるようになり、これが脳に悪影響を与え、神経・内分泌・免疫の働きのバランスを崩すようになり、その結果、脳の機能に異変が起こり、激しい疲労を始め様々な症状が引き起こされることになるのではと考えられるのが有力である。治療としては免疫の働きを高め、抗酸化力を上げ、脳の機能の改善を目指すのが基本となる。補中益気湯などの漢方薬を用いて身体の免疫力を高め、抗酸化作用を持つビタミンCを大量補給し疲労回復を図る方法が代表的な治療法である。また、抗うつ剤が有効なこともある。
「この病気の特徴の一つは、回復したように見えてもきつい仕事やストレスなど強い負荷がかかると再び急に悪化しやすい。しかしずっと休養をとっていれば治るということではなく、良くなってきた時少しずつ負荷を増やし、それに体を慣らしてゆくことが大切です」と木谷医師は、治療の難しさを説きつつ「働き盛りで発症が多いのも、結婚や昇進、転居など人生上の出来事が重なりストレス多いことと関係しているのかもしれない。前に述べたような疑わしい症状がある時には放置せず、専門医を受診し治療を受けることが大事です」と早期治療の重要性を訴えている。

医師プロフィール

1957年3月 大阪大学医学部 卒業
1958年4月 同上附属病院で研修、その後大阪大学医学部第二内科へ入局 助手、講師、助教授を経て
1980年11月 大阪大学微生物病研究所内科教授
1992年4月 同上附属病院院長
1993年9月 大阪大学医学部 血液・腫瘍内科教授
1996年5月 市立堺病院病院長
2015年7月 堺市立総合医療センターに病院名変更