やけどの深さと広さ 家庭の医学

■やけどの深さ
□Ⅰ度のやけど
 いわゆる「日焼け」と同じで、皮膚の表皮のみのやけどです。皮膚は赤くなりヒリヒリします。
 Ⅰ度のやけどは、なにも処置をしなくても数日で治ります。


□Ⅱ度のやけど
 皮膚のやや深い層である真皮まで、やけどが及んだ状態です。水ぶくれ(水疱〈すいほう〉)ができ、皮膚は赤くただれ、痛みも強く感じられます。
 医療機関での治療が必要となることが多いやけどであり、治るのに1週間~1カ月ほどかかります。


□Ⅲ度のやけど
 皮膚の下にある皮下組織まで傷害されたやけどです。皮膚は黒く焦げたり、白く光沢(羊皮紙様〈ようひしよう〉)をもっているように見えます。
 Ⅲ度のやけどでは、皮膚は自然に「再生」しないので、自分のほかの部分の皮膚を植える植皮手術が必要となります。


□Ⅳ度のやけど
 Ⅳ度のやけどは、Ⅲ度のやけどと同じで皮下組織以下、時には筋肉や骨までが傷害され、皮膚は炭化しています。Ⅰ~Ⅲ度のやけどは熱湯熱傷でも生じますが、Ⅳ度のやけどは家屋火災や焼身自殺などの火炎によるやけどでのみ生じます。
 治療は強力な全身管理、感染症防止、そして植皮手術です。


■やけどの広さ
 やけどの広さは、からだの表面積(体表面積)の何パーセントがやけどになっているかであらわします。
 大人の場合、「9の法則」を用います。これは、頭部・上肢は9%として、胴体前面・胴体後面・下肢をそれぞれ18%として計算します。また簡便法として、手のひらの面積を体表面積1%として計算する方法もあります。
 Ⅱ度のやけどで体表面積の10%以上なら中等症、20%以上なら重症、Ⅲ度のやけどで3%以上なら中等症、10%以上で重症と判断されます。または、やけどの重症度を示す指標である熱傷指数で10以上を重症と判断します。いずれも、入院などの治療が必要ですので、ただちに医療機関を受診しなければなりません。また、熱傷指数に年齢を足すことにより熱傷予後指数が求められます。この指数により、年齢が高くなるほど、予後が悪くなることがわかります。
 なお、乳幼児や子ども、高齢者では、やけどの面積が広くなくても、感染を起こしやすいため、早めに病院で診てもらうことが大切です。

●熱傷指数と熱傷予後指数
熱傷指数(burn index)
 =Ⅱ度熱傷面積(%)×1/2+Ⅲ度熱傷面積(%)
   熱傷指数≧10:重症熱傷

熱傷予後指数(prognostic burn index)
 =熱傷指数+年齢(予後評価に有用である)
   熱傷予後指数≦ 80・・・救命の可能性が高い
   熱傷予後指数≧120・・・救命困難


(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)

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