医療と介護の双方の支えが必要になる 家庭の医学

■介護保険の利用
 ここでは、認知症に限らず要介護高齢者が利用できる介護保険サービスを紹介します。介護保険の要介護認定によって、受けられるサービス、時間には制限があります。

1)自宅で利用できるサービス
 訪問介護:家事援助(調理、洗濯、掃除などの家事)と身体介護、ADL(日常生活動作)援助(入浴、排せつ、食事などの介護)があります。
 訪問看護:床ずれの処置、栄養管理、服薬管理、排せつケアなどをします。独居者などには、夜間でも巡回対応するサービスもあります。

2)自宅から通って利用するサービス
 デイサービス(日帰り介護):食事、入浴、その他の必要な日常生活上の支援や生活機能訓練などを9?16時くらいの時間におこないます。送迎があり、日帰りで提供するサービスです。
・認知症対応型通所介護:認知症の訓練、緩和、刺激療法などをおこないます。一対一の認知症短期集中リハビリテーションは1回20分週2回、6カ月までおこないます。
・ショートステイ:介護老人保健施設などに短期間入所してもらい、医師や看護職員、理学療法士らによる医療や機能訓練、日常生活上の支援などをおこなうサービスで、3日から1週間が目安です。なお、医療的なサービスが受けられる短期入所療養介護と基本的に医療サービスが受けられない短期入所生活介護の2つに分けられています。
・小規模多機能型居宅介護:通所を基本としながら、家族の疲弊に応じて、泊まりができるサービスです。

3)自宅から離れて受けるサービスで在宅と区分されるサービス
 高齢者住宅サービスの内容はさまざまで入居する前に十分調べ、入居者や家族の評判を調べておくことが必要です。
・グループホーム:共同生活をおこない、残された機能を生かして暮らします。

4)施設介護 要介護3以上が対象となるサービス
・介護療養型医療施設:急性期を過ぎて、医療サービスは必要なものの安定期にあり、生活介護も必要な人に適した施設。
・介護医療院:要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要で医学的管理の下における介護および機能訓練その他必要な人に適した施設。
・介護老人保健施設:入所者に対してリハビリテーションなどの医療サービスを提供し、家庭への復帰を目指す施設。一対一の認知症短期集中リハビリテーションは1回20分週3回、3カ月まで。
・介護老人福祉施設:寝たきりや認知症などで、常に介護が必要で自宅での生活がむずかしい人のための施設で、亡くなるまで入所します(終生介護)。

(執筆・監修:地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 理事長/国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 理事長特任補佐 鳥羽 研二)
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