未熟児網膜症〔みじゅくじもうまくしょう〕 家庭の医学

 未熟な網膜血管に高濃度の酸素が入ると血管は閉塞し、閉塞した周辺は低酸素となり、それを補うためにその領域に向かって新生血管ができてきます。さらに硝子体(しょうしたい)中へも新生血管が延びると、そこから滲出(しんしゅつ)や線維性の組織が形成され、そのために網膜を牽引剥離(けんいんはくり)してしまい、網膜剥離が起こり失明します。この網膜、増殖膜や硝子体がいっしょになって水晶体のうしろにかたまりとなり、瞳孔が白くなって気づくこともあります。
 臨床経過から2種類に分けられ、Ⅰ型は経過がゆるやかで網膜の周辺部(外側)から変化がはじまり、新生血管期、進行して境界線形成期になります。この時期は新生血管より周辺部は血管のない部分になります。さらに進行すると新生血管より硝子体内に滲出物が出て増殖膜形成があり、出血なども起こります。増殖膜が網膜を牽引して、しまいに網膜剥離を起こします。Ⅱ型は新生血管期から一足飛びに網膜剥離を起こしてしまう型です。
 未熟児網膜症は、生まれたときの体重が1800g以下、在胎週数34週以下でハイリスクとなります。該当する場合は、眼科医による眼底検査を受ける必要があります。発症率は出生体重1500g未満で約60%、在胎週数28週未満では約90%です。

[治療]
 Ⅰ型の場合は、新生血管期でとまってしまう例も多いので、経過観察をする必要があります。境界線形成期から増殖膜形成前までにレーザーによる光凝固や抗VEGF薬硝子体内注射の必要があり、さらに進行しますとレーザーによる光凝固も効果がなくなります。
 Ⅱ型の場合は、新生血管期からいきなり網膜剥離型に進行しますので、早期に光凝固をおこなわなければならないのですが、レーザーによる光凝固や抗VEGF薬硝子体内注射をおこなっても、その進行をとめられず、手術加療が必要になることも多くあります。

【参照】子どもの病気:未熟児網膜症

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