慢性(化膿性)中耳炎〔まんせい(かのうせい)ちゅうじえん〕
急性中耳炎が治りきらずに鼓膜に穿孔(せんこう:穴)が残り、細菌の感染による炎症が反復、慢性化して耳だれをくり返す中耳炎をいいます。鼓膜穿孔や中耳の粘膜の腫脹などにより難聴が生じます。炎症が慢性化すると、中耳腔(ちゅうじくう)に肉芽(にくげ)が形成されたり、耳小骨の動きがわるくなったり、破壊されたりします。
[治療]
中耳腔の分泌物を除去し、抗菌薬の内服や点耳薬で耳だれをとめます。耐性菌でない場合はこの処置で通常耳だれはとまりますが、穿孔は残ります。耳だれを停止するためと聴力の改善のためには、手術(鼓膜形成術または鼓室形成術)が必要となります。
鼓膜形成だけですむ場合、リティンパ®による鼓膜閉鎖術と湯浅式鼓膜閉鎖術がすすめられます。リティンパ®による鼓膜閉鎖術は、鼓膜麻酔液を浸した綿を鼓膜穿孔に当てる局所麻酔をおこなったあと、顕微鏡下に鼓膜穿孔のまわりに傷をつけ(新鮮化し)、薬剤(トラフェルミン)を浸したゼラチンスポンジを挿入して、組織接着剤で固定します。1回の治療で閉じない場合、最大4回まで反復できます。最終的に鼓膜穿孔が閉鎖する確率は約80%です。湯浅式では、鼓膜麻酔ののち、鼓膜穿孔縁を新鮮化し、筋膜または結合織を鼓膜穿孔の裏に挿入して、組織接着剤で固定します。鼓膜穿孔が閉鎖する確率は約90%です。
穿孔縁があまり残っていない大穿孔、耳漏が完全にはとまらない症例、耳小骨に欠損や固着などの異常がある場合は、全身麻酔下の手術(鼓室形成術)をおこないます。耳内切開または耳後切開をおこない、鼓膜を剥離挙上して中耳の炎症組織を除去し、耳小骨を軟骨などで、鼓膜を筋膜または結合織で再建して聴力の回復をはかります。
慢性中耳炎の児童・生徒は学校での水泳が禁止されることもあるので、手術で完治させることがすすめられます。QOL(quality of life:生活の質)の向上のために、手術は大きな貢献をします。
慢性中耳炎を放置すると炎症が進行し、難聴がさらに悪化することがあります。手術をすれば再発することはほとんどなく、快適な生活を送ることができます。18歳未満の場合、育成医療制度の援助があります。
[治療]
中耳腔の分泌物を除去し、抗菌薬の内服や点耳薬で耳だれをとめます。耐性菌でない場合はこの処置で通常耳だれはとまりますが、穿孔は残ります。耳だれを停止するためと聴力の改善のためには、手術(鼓膜形成術または鼓室形成術)が必要となります。
鼓膜形成だけですむ場合、リティンパ®による鼓膜閉鎖術と湯浅式鼓膜閉鎖術がすすめられます。リティンパ®による鼓膜閉鎖術は、鼓膜麻酔液を浸した綿を鼓膜穿孔に当てる局所麻酔をおこなったあと、顕微鏡下に鼓膜穿孔のまわりに傷をつけ(新鮮化し)、薬剤(トラフェルミン)を浸したゼラチンスポンジを挿入して、組織接着剤で固定します。1回の治療で閉じない場合、最大4回まで反復できます。最終的に鼓膜穿孔が閉鎖する確率は約80%です。湯浅式では、鼓膜麻酔ののち、鼓膜穿孔縁を新鮮化し、筋膜または結合織を鼓膜穿孔の裏に挿入して、組織接着剤で固定します。鼓膜穿孔が閉鎖する確率は約90%です。
穿孔縁があまり残っていない大穿孔、耳漏が完全にはとまらない症例、耳小骨に欠損や固着などの異常がある場合は、全身麻酔下の手術(鼓室形成術)をおこないます。耳内切開または耳後切開をおこない、鼓膜を剥離挙上して中耳の炎症組織を除去し、耳小骨を軟骨などで、鼓膜を筋膜または結合織で再建して聴力の回復をはかります。
慢性中耳炎の児童・生徒は学校での水泳が禁止されることもあるので、手術で完治させることがすすめられます。QOL(quality of life:生活の質)の向上のために、手術は大きな貢献をします。
慢性中耳炎を放置すると炎症が進行し、難聴がさらに悪化することがあります。手術をすれば再発することはほとんどなく、快適な生活を送ることができます。18歳未満の場合、育成医療制度の援助があります。
(執筆・監修:東京逓信病院 病院長 山岨 達也)