良性腫瘍
- 解説
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口の中にはさまざまな良性腫瘍が発生します。口の粘膜の表面にある扁平上皮(へんぺいじょうひ)や唾液腺(だえきせん)の腺上皮から発生する上皮性と、上皮以外から発生する非上皮性とに分類されます。上皮性のものには乳頭腫(にゅうとうしゅ)や腺腫、非上皮性のものでは線維腫、血管腫、リンパ管腫、脂肪腫などがありますが、上皮性のなかでは乳頭腫、非上皮性では線維腫がもっとも多く発生します。
[症状]
上皮性、非上皮性ともゆっくりと増大します。一般に痛みなどの症状は少なく、かなり大きくなるまで日常生活で不便(摂食障害や構音障害)は出現しません。
[治療]
外科的切除をおこないます。ほとんどは腫瘍のみを摘出しますが、腫瘍の性質により周囲の健康組織を含めて切除をおこなうことがあります。血管腫やリンパ管腫では完全に摘出することが困難なことがあり、血管をつまらせる塞栓(そくせん)療法と硬化療法の併用など、ほかの治療法が選択されます。
(執筆・監修:東京大学 名誉教授/JR東京総合病院 名誉院長 髙戸 毅)