エーザイは7日、米製薬大手バイオジェンと共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」が米食品医薬品局(FDA)から正式承認されたと発表した。日本では9月までに承認される見通し。症状の進行を遅らせる効果があるとされ、国内でも患者や家族の期待が高まる。ただ、普及には早期診断の体制整備など課題も多い。
 エーザイの内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は7日、東京都内の本社で記者会見し、「研究開始から約40年を経て、アルツハイマー病の根本病理に関わる治療薬を届けられる。万感胸に迫る思いだ。介護負担も大幅に軽減できる」と強調した。
 レカネマブは、早期のアルツハイマー病患者を対象にした新薬で、欧州連合(EU)や中国、カナダ、英国、韓国でも承認申請されている。臨床試験(治験)では薬を投与しない患者に比べ、症状の悪化を27%抑制する効果が確認された。
 投与には専門医の診断が必要になる。エーザイによると、脳の撮影画像からアルツハイマー病の確定診断ができる施設は国内で約50施設にとどまり、拡充が不可欠だ。
 高額な費用も重荷になりそうだ。レカネマブは「レケンビ」の名称で米国で販売され、卸売価格は患者1人当たり年2万6500ドル(約380万円)に上る。普及が進むと、国の医療保険財政を圧迫する恐れもある。 (C)時事通信社