スウェーデン・Karolinska InstitutetのYihui Yang氏らは、米国の大規模前向きコホート研究Nurses' Health Study Ⅱ(NHSⅡ)に参加した女性3,635例のデータを解析した結果、月経前症候群(PMS)と月経前不快気分障害(PMDD)を合わせた月経前障害(premenstrual disorder;PMD)は、早期自然閉経および閉経に伴う中等度~重度の血管運動神経症状(VMS)のリスクを高めることが示されたとJAMA Netw Open2023; 6: e2334545)に発表した。

45歳未満での早期自然閉経リスク2.67倍

 解析対象は、1989年のNHSⅡ登録時にPMD未発症で1992~2005年にPMDと診断された女性(PMD群)1,220例〔年齢中央値40.7歳、四分位範囲(IQR)37.3~43.8歳〕と、年齢でマッチングしたPMD未発症の女性(非PMD群)2,415例(同41.7歳、38.3~44.8歳)の計3,635例。追跡期間の中央値は、PMD群が20.3年(IQR 18.2~22.2年)、非PMD群が20.3年(同17.1~22.2年)だった。

 早期閉経リスクの解析(PMD群1,140例、非PMD群2,344例)では、2017年の追跡終了時点でPMD群の1,059例(92.9%)、非PMD群の2,235例(95.3%)が閉経しており、自然閉経時の平均年齢はそれぞれ51.4歳(標準偏差0.1歳)、51.8歳(同0.1歳)だった。

 45歳未満での早期自然閉経は、PMD群が17例(1,000人・年当たり7.1例)、非PMD群が12例(同2.7例)で、PMD群で早期閉経リスクが高かった(Cox比例ハザードモデルによる調整後ハザード比2.67、95%CI 1.27~5.59)。

中等度~重度、5年以上のVMSリスクが上昇

 VMSリスクの解析(PMD群1,167例、非PMD群2,379例)では、PMD群の1,052例(90.1%)、非PMD群の2,067例(86.9%)がなんらかのVMSを発症し、PMD群でVMS発症リスクが高かった〔ロジスティック回帰モデルによる調整後オッズ比(aOR)1.43、95%CI 1.13~1.80〕。

 PMD群におけるリスク上昇は、中等度~重度VMS(aOR 1.68、95%CI 1.32~2.14)、5年以上持続するVMS(同1.43、1.01~2.02)で見られたが、PMDと軽度VMSに関連は認められなかった(同0.99、0.76~1.28)。

 以上の結果から、Yang氏らは「PMDを有する女性は、早期閉経および中等度~重度VMSのリスクが高いことが示された。PMDは早期閉経およびVMSの基礎となる生理学的状態を示している可能性があり、生殖年齢において観察できる症状から閉経移行期の健康リスクが高い女性を特定できる可能性があることを示唆している」と結論。「PMDは閉経とともに終了するものの、PMD患者における閉経後の健康リスクを評価する必要がある」と付言している。

(太田敦子)