治療・予防

つらい精神症状―月経前不快気分障害
抗うつ薬で多くが改善(東京女子医科大学東医療センター精神科 大坪天平部長)

 月経前になると、頭痛、いらいら、抑うつなど身体的、精神的な不調を多くの女性が経験する。こうした症状は月経前症候群(PMS)と呼ばれるが、特に抑うつや情緒不安定などの精神症状が強い場合は「月経前不快気分障害(PMDD)」の可能性がある。PMDDは米国精神医学会の精神疾患の診断分類(DSM―5)において抑うつ障害群の一つとして取り上げられ、うつ病に準じた治療が有効な場合が多い。近年、精神科にPMDD専門外来を開設する施設も増えており、専門家による適切な治療を受けることが大切だ。

女性の月経周期とPMDDの症状出現時期

 ▽周囲とトラブルに

 PMSでは腹痛、頭痛、腰痛、乳房の張り、むくみなどの身体症状に加え、気分の落ち込み、不安、情緒不安定、いらいらなどの精神症状が表れる。これらの症状は、女性ホルモンが減少する月経の3~10日ほど前から始まり、月経後数日で症状が軽減または消失する。

 PMDD専門外来で患者の診療に当たっている東京女子医科大学東医療センター(東京都荒川区)精神科の大坪天平部長によると、「PMDDもPMSと同じサイクルで症状が出現し、消失します。ただし、PMSに比べて精神的な症状が重く、周囲の人とトラブルを起こしたり、それを避けるために人との関わりを持たなくなることも少なくありません。自分でも訳が分からなくなり、落ち込んでしまうこともあります」。

 ▽生育環境やストレスも影響

 大坪部長らが行った調査で、月経のある女性の約4%にPMDDが認められた。「幼少期の逆境体験、例えば両親の離婚・不仲、虐待などがあった人に多く見られます。強いストレスを抱えながら生活している人も発症しやすいと考えられます」と説明する。

 治療には、婦人科では主に経口避妊薬(OC)や月経困難症等の治療薬(LEP)などの低用量ピルが使用されるが、メンタル面の不調を訴える患者が多い精神科ではPMDDの治療に抗うつ薬を用いることが一般的だ。「当院では約7割の患者に症状が表れている期間に抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を服用する間欠療法を行っています。有効性は高く、7~8割の患者に有効です」と大坪部長。服用量はうつ病治療に用いる標準量の半分程度で、副作用はあまり目立たないという。国内では適応外使用となるので、その点を患者に説明し、同意を得ている。

 大坪部長は「一人で悩んでいないで、できればPMDD専門外来のある医療機関で診療を受けてほしい。薬を上手に使って治療すればほとんどの人がつらい症状を改善できます」と呼び掛ける。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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