摂食障害の一種「神経性やせ症」と診断される子どもの数が、新型コロナウイルス流行から3年目になっても依然深刻なことが19日、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の全国調査で分かった。流行は2020年度に本格化したが、22年度も流行前の約1.4倍と高水準だった。
 新型コロナは今年5月、感染症法上は季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行。行動制限もなくなったが、流行長期化に伴う心身への影響がいつ解消されるか不透明で、同センターは引き続き、子どもに寄り添った対応を訴えている。
 神経性やせ症は、極端な食事制限や、過食後に吐き出すなどして体重が正常より明らかに少なくなる疾患。日常生活に支障が出る恐れもある。
 同センターは4~6月、全国31病院にアンケートを送付。22年度に初診外来で同症と診断された20歳未満の患者について、有効回答が得られた23病院分の結果をまとめた。
 患者数は男児31人、女児245人の計276人で、流行前の19年度(199人)より約4割増えた。20年度は313人、21年度は319人で、やや改善したが依然深刻な状況だ。
 有効回答数は異なるが、同症による22年度の新規入院患者は183人で流行前の約1.6倍。増加傾向が続いており、重い症状の子どもが増えた恐れもあるという。
 調査責任者の小枝達也副院長は「学校行事の中止や黙食推奨が与えた心身への影響はすぐには収まらず、5類移行後に患者が減るのかは不明だ」と分析。「今後も教師や保護者ら周囲の大人が子どもとしっかりコミュニケーションを取り、居心地のいい場所を用意してあげてほしい」と話している。 (C)時事通信社