厚生労働省は5日、新型コロナウイルス感染症の診療体制について、4月以降は公費負担を全廃すると正式に発表した。通常の医療提供体制に移行し、治療薬は医療費の窓口負担割合に応じて1~3割の支払いを求める。入院費補助なども3月末で終了する。
 武見敬三厚労相は同日の閣議後記者会見で、感染状況などを踏まえた判断だと強調。「一般病床でコロナ患者を受け入れる体制整備を進めてきた。通常の医療提供体制の移行は問題ない」と述べた。
 新型コロナの医療費を巡っては、2021年から治療薬の全額公費負担が始まった。昨年5月、感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ5類に移行。同年10月には支援規模が縮小し、治療薬は所得に応じて3000~9000円の自己負担となった。
 4月以降はこうした支援が終了する。薬価が約5万2000円に上る塩野義製薬の新型コロナの飲み薬「ゾコーバ」を使う場合、3割負担の患者では1回の治療当たり1万5000円超の支払いが求められる見通しだ。
 月額1万円の入院費補助は3月末で終了。感染状況に応じ、事前に病床を確保した大学病院などの医療機関に支給してきた「病床確保料」と患者を受け入れた高齢者施設への補助も打ち切る。ワクチンの無料接種も今年度末で終了し、来年度からは主に65歳以上が対象の定期接種となる。 (C)時事通信社