国立病院機構京都医療センターは29日、肥満患者の心血管疾患リスクを低減する長期的な減量目標を見いだしたと発表した。減量開始から1年後に5%以上、5年後に7.5%以上体重を減らすとリスクが低減するという。研究成果は欧州の国際専門誌オンライン版に掲載された。
 日本肥満学会は特定健診で生活習慣改善プログラムを受けた人の研究成果を基に、減量目標を3~6カ月で3%と設定している。ただ、医療機関に通う肥満患者を対象とした減量目標はなかった。
 京都医療センターは、同機構の施設に通院した肥満患者576人について5年間、血圧や血糖値、中性脂肪、善玉コレステロールといった心血管疾患のリスクを示す4項目の指標と体重減少率の関連を調査。リスク指標を1項目以上改善するには、1年で5%以上、5年で7.5%以上の減量が必要なことが分かった。
 通院した肥満患者のうち、1年後には36.3%が5%以上、5年後には24.1%が7.5%以上の減量を達成した。同センターの浅原哲子内分泌代謝高血圧研究部長は「肥満患者の長期的な減量目標が明確に示され、生活習慣病や心血管疾患の発症抑制につながる」と話している。 (C)時事通信社