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不妊症の半分は男性に原因
ストレスや晩婚化が影響

 不妊症といえば、女性に問題があるかのように受け取られる時代が続いてきた。しかし、世界保健機関(WHO)の報告によると、不妊症の48%は男性が関与しているという。男性不妊症の原因や実態、治療法などについて、メンズヘルスクリニック東京(東京都千代田区)男性妊活外来の辻村晃医師に聞いた。

精子を良い状態に保つための心掛け

 ▽8割が精子に問題

 男性不妊の原因は大きく分けて三つある。厚生労働省の男性不妊調査(2015年度)によると、精子がうまくつくれない「造精機能障害」が82.4%を占め、次いで、勃起しない、射精できないなどの「性機能障害」が13.5%、精子がうまく排出されない「閉塞(へいそく)性精路障害」が3.9%となっている。造精機能障害の4割は原因不明で、3割は精巣周辺の血管がこぶ状に肥大する精索静脈瘤(りゅう)が原因だ。ただし、過去数十年にわたり、精子の数や運動量などの低下が世界的に観察されており、辻村教授は「ストレスや食生活の乱れ、晩婚化の影響が考えられます。加齢とともに精子数が少なくなる傾向があります」と話す。

 WHOの基準によると、自然妊娠をするには、精液1ミリリットル中の精子数が1500万個以上、総精子数が3900万個以上、精子の活動性を示す運動率が40%

などをクリアすることが必要だ。

 ▽生活習慣を改善、質低下を防ぐ

 治療法としては、精子に問題がある場合、生活習慣を改善したり、抗酸化作用のあるサプリメントを服用したりして、精子の数や運動率の改善を目指す。効果がなければ、人為的に精液を生殖器に注入する人工授精や女性から取り出した卵子を体外で精子に接触させる体外受精を行うこともできる。

 精索静脈瘤が原因の場合、精巣の静脈を縛って固定する手術を行うことで、妊娠率の向上が期待できる。性機能障害に対しては、シルデナフィルなどのPDE5阻害薬による薬物療法が第一の選択となる。

 では、精子の状態を良くするためには、日常生活でどのような点に注意すればよいのか。辻村医師は「健康な体の維持、禁煙、ストレスを蓄積させない、睡眠を十分とるといった根本的な生活習慣の改善が必要です。生活習慣病やメタボがあれば治療しましょう。また、膝の上にノートパソコンを置いて仕事をすると睾丸(こうがん)の温度が上がって、精子がつくられにくくなります。睾丸を温めたり、圧迫したりするのは避けてください」と注意を促す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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