治療・予防

動き始めに痛む脚「特発性大腿骨頭壊死症」
股関節に詳しい医師の診断を

 俳優の坂口憲二さんが発病して話題となった特発性大腿(だいたい)骨頭壊死(えし)症。古くは美空ひばりさんもこの病気で苦しんでいた。国の難病に指定されている疾患で、毎年約2000人以上が新たに診断されている。股関節の病気に詳しい東京女子医科大学病院(東京都新宿区)整形外科の宗像裕太郎医師に話を聞いた。

動き始めに痛むのが特徴的。進行すると歩行ができなくなる

 ▽ステロイドや酒が関連

 骨盤と大腿骨のつなぎ目の関節は、丸い頭のような形をしていることから「大腿骨頭」という。この大腿骨頭に栄養を供給する血流に障害が起きて、血の巡りが途絶え、骨の組織が死んでしまう状態が大腿骨頭壊死だ。そのうち、骨折や手術といった明らかな原因が無いものを特発性大腿骨頭壊死症と呼ぶ。

 なぜ、大腿骨頭壊死を起こすのか明らかではないが、ステロイドの服用者とアルコール摂取者に多い。日本の難病研究班の調査では、特発性大腿骨頭壊死のうち、ステロイド関連が55%、アルコール関連が44%となっている。

 アルコールは適量であれば問題はない。宗像医師は「大量の飲酒習慣は是正すべきです。一方のステロイドについては、膠原(こうげん)病や臓器移植後など、大量に使用する人に起こりやすいのは確かですが、自己判断でやめたり、減らしたりするのは禁物です。ステロイドを飲み続けるメリットとデメリットをてんびんに掛けると、明らかに服薬を続けるメリットの方が大きい」とくぎを刺す。

 ▽生活の工夫や手術

 症状は「痛み」だが、大腿骨頭壊死が起きただけでは生じない。壊死を起こした骨が体重を支えられなくなり、骨がつぶれる骨頭圧潰(あっかい)を起こすことで初めて、脚の付け根や膝、腰に痛みが生じる。動き始めに痛むのが特徴的で、進行すると受け皿となる骨盤が変形し、歩けなくなる。

 壊死が起こったら治すことはできない。骨頭圧潰が起きていなければ、重い物を持つような作業を避け、運動を最低限にするなど、股関節にかかる負担を減らす。症状が強くなったら、大腿骨頭を回転させて壊死部を体重がかからない位置にずらす手術や、人工股関節に置換することで対処することになる。

 初期にはレントゲンで診断するのが難しい。宗像医師は「特発性大腿骨頭壊死症が疑われた場合は、股関節専門の医師を紹介してもらい、受診してください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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