治療・予防

胃切除後に起こるダンピング症候群
食事の仕方の工夫で対応

 胃がんなどで胃を切除した人は、食後におなかが張ったり、眠気や空腹感に襲われたりすることがある。これらの症状は胃切除後の「ダンピング症候群」と呼ばれ、症状が重い場合は日常生活、社会生活に支障を来す。外科医で東京慈恵会医科大学付属第三病院(東京都狛江市)中央検査部の中田浩二診療部長は「手術後の体の変化を理解して、少量ずつ、よくかんでゆっくりと食べましょう」とアドバイスする。

胃を切除した人の食事に関する工夫

 ▽食べ物が腸に一気に流れ込む

 食べた物はいったん胃に貯留され、胃液で消化されて、小腸へと徐々に移動する。だが、胃を切除した人は胃がないか、小さくなっているため、十分に消化されていない食べ物が一気に小腸に流れ込んでいく。ダンプカーが土砂を一気に降ろすようなものだ。それに体が反応してさまざまな症状が表れるのがダンピング症候群で、胃を切除した人の10~40%に起こる。

 例えば、食後15~30分すると眠気、だるさ、おなかが張る、おなかが鳴るといった症状が、さらに食後90~180分には空腹感、だるさなどの症状が表れる。症状の種類や程度、表れるタイミングには個人差がある。中田診療部長は「同じ手術をしても、症状が軽い人もいれば、生活に支障を来すほど重い人もいます」と話す。

 ▽体の変化に合わせた生活を

 「患者さんは、たくさん食べて早く体力を回復したいと思うのでしょうが、胃を切除する前と同じように食べると、症状が出る場合が多いようです」と中田診療部長。そこで、胃切除後のおなかの仕組みの変化を理解し、それに見合った生活をすることがポイントとなる。

 対処法は食事療法が中心となる。具体的には▽一口分を20~30回程度はかむ▽1回の食事の量を減らし、食べる回数を増やす▽食事中は水分摂取を避ける▽甘い物や炭水化物を控える▽食後はしばらく頭を高くして横になる―といった工夫だ。家族や職場の理解と協力も重要となる。こうした工夫で、多くの場合、半年から1年後には症状が軽快または消失するという。症状が良くなっても、気を緩めずに食事などの工夫は続ける必要がある。

 中田診療部長が所属する「胃外科・術後障害研究会」のウェブサイト)には、胃を切除した人への食事と生活のアドバイス、職場への説明用資料が掲載されている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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