話題

オストメイトも温泉OK
参加者「うれしいな」―企画ツアーに同行

 ◇海外旅行にも挑戦を

 見学会には、自身もオストメイトである金沢大学名誉教授(歯科口腔外科学)の山本悦秀氏も駆け付け、「わが友オストメイトよ、旅に出よう!」と題して講演した。山本氏は2005年、60歳の時に大腸がんを発症し、計3回の開腹手術を受けた。「奇跡的」と本人が語る「5年生存」を機にストーマを「仮設」から「永久受容」に切り替えた。

「旅に出よう」と呼び掛ける山本悦秀氏

 国内外の装具を実際に試してきた山本氏はマラソンが趣味で、装着後も走ることを続けてきた。「7年前ではフルマラソンを完走したが、今は10キロのマラソンを楽しんでいる」。人生に対して極めて前向きな山本氏は海外旅行の経験が60回に及び、このうち22回が装具装着の旅だった。

 「通常の使用料の2倍程度をスーツケースと手荷物バッグに分けて入れることがこつ。空港でボディーチェックを受けたこともないし、海外のホテルには室内プールを持つ施設も多く、気兼ねするケースも少ない」。山本氏はこう述べ、海外旅行にも挑戦しようとエールを送った。

 オストメイトに対応する手すり付き便座や流しなどを備えた公共施設の多機能トイレが増えている。山本氏は「最近の調査によると、約半数のオストメイトが利用している。堂々と多機能トイレを使おう」と呼び掛けた。

 ◇臭いが気になるときのレシピ

 アルケアの管理栄養士の平野未咲都さんは「大前提として、基本的には何を食べても構わない」と言う。日本オストミー協会によると、排せつ物の漏れとともに臭いがオストメイトの悩みになっている。特に臭いが出やすい食品はニンニクやアスパラガス、ネギなどで、ガスが出やすい食品の代表はイモ類と炭酸飲料だ。

 平野さんはそう説明した上で、「消化器の臭いが気になるときは『納豆キムチのチヂミ』と『ぬか漬けステーキ』を、泌尿器の臭いが気になるときには『ユズと甘酒のゼリー』『ブロッコリーの素揚げ・アンチョビみそマヨネーズ』がお勧め。とにかく食事は、笑顔でおいしく食べるのが一番だ」と語った。

参加者とスタッフが一緒に入浴

 ◇ユニバーサルツーリズム推進

 近畿日本ツーリスト首都圏のユニバーサルツーリズム推進担当の伴流高志氏は「企画を立ち上げてから実現するまでに、約2年かかった。ただ、ホテルや旅館に電話で趣旨を説明するだけでは、理解は得られない。ストーマ装具の販売代理店やオストメイトに関わる医師や看護師らを通じて私たちの思いを伝えた」と振り返る。

 「例えば、車椅子の身体障害者の方は周囲の人たちの理解が得られやすいが、オストメイトは事情が異なる。しかし、顧客の一人ひとりが抱える課題を解決することが、これからのユニバーサルツーリズムだ。今回はそのベースとなる『導入ツアー』で、継続することが重要だ」。伴流氏は、こう力を込めた。(鈴木豊)

  • 1
  • 2

新着トピックス