治療・予防

有効な既存治療薬は?
新型コロナ、ワクチン・新薬には時間

 ◇安全で安価

 足柄上病院からの報告では、吸入ステロイド剤が抗ウイルス効果による増殖抑制だけでなく、増殖時に起きた肺の局所的炎症を抑制した可能性がある、とされている。また、未熟児・新生児から高齢の症例まで広く用いられる安全な薬剤であること、使用が簡便であること、比較的安価なことなどを利点としてあげている。

 投与のタイミングとしては、早期のウイルス増殖や重症肺炎への進展の防止効果を期待して、重症化する前の感染早期から中期、あるいは肺炎初期の投与が望ましいとしている。その上で、今回の症例だけで効果を判断することは難しいとして、厚生労働省や感染症学会など関係団体の協力を得て、多施設での観察研究を開始した。

新型インフルエンザやエボラ出血熱に期待されている「アビガン」(富士フイルム提供)

 ◇感染症学会も「考え方」提示

 こうした動きに伴い日本感染症学会も「抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」を作成している。「考え方」は投与対象を、肺炎を発症して「低酸素血症を発症し、酸素投与が必要である」状態の患者で、重篤な呼吸不全を起こす可能性が高い50歳以上か、糖尿病や心血管疾患、慢性の肺疾患や閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)、臓器移植やリウマチ治療などで免疫抑制状態にあるなどの条件を満たしている場合に投与する、としている。

 「考え方」の中でカレトラと並んで挙げられている抗ウイルス薬が、ファビピラビル(商品名「アビガン」)だ。この薬は「新型または再興型で、他の抗ウイルス薬が無効または効果不十分なもの」に投与対象が限られ、エボラ出血熱にも効果が期待されていた。今回の流行でも、中国の複数の医療機関で患者に投与され、本格的な臨床試験が始まっている。

 ただ、この薬は動物実験で妊娠初期の胎児の死亡や奇形の発生率を高めることが報告されるなど副作用への危惧もある。このため同学会も投与の前に文書で患者から同意を得ることを求めるだけでなく、「投与にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること」としている。(喜多壮太郎・鈴木豊)

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