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第53回 飲酒の量、最近、増えていませんか

 全国的に、猛暑と新型コロナ感染拡大が続いていますが、最近、産業医面談をしていて気になることがあります。

 それは「飲酒の量」です。勤務体制が従来と変わり、リモートでの勤務が増えたことで、生活リズムが微妙に変わり、それに伴って「家飲み」の量が増えている人が目立つのです。

スーパーのビール類売り場。飲酒にブレーキをかけたいときは買い置きを控えるなどの工夫が必要【時事通信社】

 これは、新型コロナで緊急事態宣言が出た頃から指摘されていたことではありますが、最近は、猛暑の影響もあって、家で飲むビールの量が多くなる傾向が目立ちます。

 ◇飲酒量が増える2パターン

 (ケース1)先日、40代の男性が産業医面談で言葉の歯切れが悪いのが気になり、質問したところ、前日はリモート勤務で、家でお酒をかなり飲んだということでした。今年の春以降、勤務が週1回の出社で、あとはリモートになり、自宅で早い時間からビールを飲むようになって、量が増えたということでした。暑いから、つい冷えたビールを飲んでしまい、最近は毎日、350ミリリットル入りの缶を5本飲むようになっているということでした。

 (ケース2)別の企業では、30代男性がリモート勤務の日に、自宅で飲み過ぎ、翌日に出社して階段でつまずき、けがをするということも起こりました。リモート業務が家では、社内でするようにはいかず、かなりストレスがたまってしまったということです。

 飲酒量が増えるというと、すぐに「それはストレスでは?」と思う人が多いかもしれません。しかし、特にストレスがきっかけではなくても、手持ち無沙汰で飲むようになっている人がいるのです。

 ケース1の男性は、特に業務の負担も感じてはおらず、家で作業をする中で、何となく退屈になる時間に冷えたビールを飲み、それが習慣化していると思われました。

 「出社していれば、少なくとも5時半までは社内にいて、飲めないけれど」、そうではないので、つい飲むということでした。

 一人暮らしで、誰にも何も言われないことや、お酒に強いということも重なり、つい飲んでしまうというサイクルが続いているようです。

 ◇飲酒を習慣化しない

 しかし、この量の飲酒が習慣化すると、肝機能だけでなく、その他の生活習慣病のリスクも高まり、ひいてはアルコール依存になる可能性もあるので、対策を実行していただくことにしました。

 ケース2の男性は明らかに、新型コロナによる勤務形態の変化がストレスになり、飲酒量が増えたと思われます。

 普段からお酒でストレスを解消する傾向があったようです。外で飲めず、勤務もリモートが多いので、家で飲む量が増えたということでした。

 普段、我慢強く、ぎりぎりまで人に相談をしない傾向がある人は、リモート業務になると、さらに上司や同僚に相談しづらく、自分で問題を抱え込んで、アルコールが多くなる場合があります。

 以下に列挙したのは、飲酒が習慣化しやすい条件です。多く当てはまる人は対策を取ってください。

 ▽一人暮らしだ
 ▽リモート勤務が増えた
 ▽これまでアルコールを飲んでストレス解消をしてきた
 ▽趣味がない
 ▽SNSの交流はあまりしない
 ▽冷蔵庫には常にビールの備蓄がある
 ▽身体を動かす機会が少ない
 ▽嫌なことがあっても抱え込んでしまう傾向が強い
 ▽コンビニに行くとついお酒を買ってしまう


 ◇自分なりの対策でセーブ

 次に、飲酒の習慣化を防ぐための対策を例示します。

 ▽冷蔵庫で冷やすビールを350ミリリットル缶2本までにする
 ▽酒類の買い置きをしない
 ▽酒類の解禁を「夜7時以降」などと決めておく
 ▽SNSを利用して飲むときは知り合いとの飲み会にする
 ▽代替飲料を用意(砂糖なしの炭酸飲料、麦茶、酢を加えた炭酸飲料など)
 ▽昼間にお酒を飲みたくなったときの代替行動を決めておく(歯を磨く、麦茶を飲む、ストレッチするなど)

 増える飲酒量を、こうした自分なりの対策でセーブしてはいかがでしょう。

 個人的には、冷蔵庫にビールや酎ハイを置かず、代わりに麦茶や砂糖なしの炭酸飲料というのが一番かなと思います。飲むお酢などを、砂糖なしの炭酸飲料に入れて飲むと、疲労回復にもなります。

 行動を変えて、飲酒の習慣化を予防してください。

(文 海原純子)

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