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SNS、離れていても心の活気を維持するには 錦谷まりこ・九州大学病院メディカルインフォメーションセンター特任准教授に聞く

 新型コロナの感染拡大で、インターネット交流サイト(SNS)を使い、友達や家族とコミュニケーションを取ろうとする人が増えています。会いたくても会えない状況を、何とかSNSで乗り切ろうとするわけです。

錦谷まりこ先生

 SNSはどの程度、コミュニケーションのサポートに役立つのか。今回は、単身赴任家族のコミュニケーションで、どのようにSNSが使われ、それがストレス軽減や生活の質(QOL)にどう影響するかなどについて、研究している九州大学病院メディカルインフォメーションセンター特任准教授の錦谷(にしきたに)まりこ先生にお話を伺いました。


 海原 遠距離家族のSNSコミュニケーションの研究は大変に興味深いです。研究を始めた経緯を聞かせてください。

 錦谷 私自身が単身赴任というか、子連れの帯同赴任を5年以上していたことが、この研究のきっかけとなっています。以前、東京に住んでいたのですが、私が福岡の大学へ転職し、夫はそのまま東京で勤務していたので遠距離家族の生活とそのコミュニケーションが始まりました。

 福岡へ移住後は、携帯電話で随時、話し、タブレット端末でビデオ通話もしていたので、夫も安心だったのではないでしょうか。「家に電話したけど、いなかったね。まだ外にいるの?」「子供の習い事の帰りに買い物してたから、まだ天神よ」みたいな調子です。

 途中で夫は海外へ転勤してしまい、頻繁に会うことができなくなりました。時差もありましたが、結局、タブレット端末で「バーチャル夫・お父さん」として、福岡での生活に参加し、こちらも海外での様子を含め、互いの生活を眺めて共有していたので、家族としての違和感は少なかったと思います。

 ◆ICT活用で高い幸福感

 海原 そうした体験が下地にあったのですね。

 錦谷
 実際に私の周辺では、何人もの別居家族がいました。心配や寂しいという心理的な理由で、仕事や進学を諦める必要はありません。離れて暮らす家族の場合には、コミュニケーションのタイミングや内容に注意を払う傾向があると感じました。ストレスが軽減して、QOLは上がるのではないか、と思ったのが、研究のきっかけです。

 海原 先生は、2020年度の日本産業衛生学会(第93回)で、単身赴任家族の情報通信技術(ICT)利用について発表しましたね。SNSなど、ICTを利用してコミュニケーションをしている家族では、ICTを利用しない家族よりも、心の活気が保たれるということでしたが。

 錦谷 そう言えると思います。いくつかの心理指標と健康指標を見たところ、うつ・不安状態をスクリーニングする心理ストレスの尺度や、内閣府の国民選好度調査で用いられる幸福度得点について、別居している家族との間でICTを十分活用している人は、そうでない人に比べて、より良い値を示しました(表参照)。つまり、ICTを十分活用して、家族とコミュニケーションを取っている人は、家族と離れて暮らしていても、うつ・不安傾向が低く、幸福感が高いということになります。



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