治療・予防

長引く便通異常―子どもの過敏性腸症候群 
不登校のリスクも

 腸には異常がないのに便通に問題が生じる過敏性腸症候群は、ストレスとの関係が強いとされる。子どもの場合、朝のトイレの時間が長い、頻繁に腹痛を訴えるなど、排便に関連した不具合が2カ月以上続くようなら注意が必要だ。「不登校のきっかけになる恐れもあります」と堺咲花病院(堺市)心身診療科の村上佳津美副院長は警鐘を鳴らす。 

周囲の理解が得られると、症状が治まることも

周囲の理解が得られると、症状が治まることも

 ▽ストレスが関連

 過敏性腸症候群は、腹部の不快感や腹痛のほか、下痢便秘、または下痢便秘を繰り返すなどの症状が表れる。子どもが腹痛を起こす病気として珍しくはないが、はっきりとした原因は分かっていない。村上副院長は「腹痛は排便とともに和らぎます。腸に炎症や腫瘍などの病気はなく、腸の働きに問題があることから、ストレスが関係していると考えられています」と説明する。

 脳内から分泌される副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)と呼ばれる物質は、ストレスを受けると分泌量が増え、腸管の神経系に作用して腸の運動に異常を起こす。同時に内臓知覚過敏も生じることから、腹痛を感じやすくなるという。「授業中にトイレに行きたくなっても言いだしにくいといった状況が繰り返されると、それは十分にストレスとなります」

 ▽総合的に治療

 そのため、朝、自宅で排便を済ませようとトイレにこもるようになる。家族が心配して声を掛けたり、登校したくないための仮病ではないかと疑って叱ったりすると、それがストレスに拍車を掛け、不登校のきっかけとなるケースがあるという。

 過敏性腸症候群の治療では、ストレスが関係することを本人と保護者に理解してもらう必要があり、学校にも病気の説明をする場合がある。「周囲の理解が得られると、症状が治まるケースも少なくありません」と村上副院長。

 正常な排便習慣を回復させるために、睡眠時間や食生活などを改善するよう指導する。下痢便秘には薬を使い、心のケアが必要であれば専門医を受診するなど総合的に治療を行っていく。村上副院長は「長引くおなかの不調に気付いたら、小児科を受診してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)


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