治療・予防

睡眠時に突然大きな音
~頭内爆発音症候群(日本大学医学部付属板橋病院 金子宜之助教)~

 寝入りばなや夜中に目が覚めたとき、頭の中で突然大きな音を感じる頭内(とうない)爆発音症候群。命に関わるような病気ではないが、恐怖や不安で眠れなくなったりする。日本大学医学部付属板橋病院精神神経科の金子宜之助教に治療法などを聞いた。

不安があれば、睡眠外来や脳神経内科で検査を

不安があれば、睡眠外来や脳神経内科で検査を

 ◇症状は自然に回復

 頭内爆発音症候群で感じる音は、爆撃、ショットガン、クラッカー、シンバルなどのような音の他、車のアクセルをふかす音やドアがバタンと閉まる音など、患者によりさまざまだ。症状が出る頻度も、週に数回~月に1回など人によってまちまちだが、多くは自然に回復するという。

 同症候群は1980年代ごろから報告されてきたが、いまだに原因は不明だ。「一つの説として、脳幹にある睡眠と覚醒を制御する機能が低下して、脳がスムーズに睡眠状態に移行しないためと考えられています。さらに、精神的ストレスが引き金となって症状が出ると考えられます」と金子助教は説明する。

 一般的にはまれな病気に分類されるが、症状は10~15%の人が経験しているとの報告もある。「若い患者に関する報告は少なく、受診するのは中高年が多いです。若い人は爆発音を感じても、恐怖や不安をそれほど抱かないのかもしれません。一方、中高年は健康への不安、死への恐怖を感じて受診する人が多いのでは」と金子助教はみている。いずれにしても、大規模な研究が少なく、はっきりしない点が多い。

 ◇睡眠外来など受診を

 頭内爆発音症候群は現時点で特別な検査法がなく、てんかん発作や睡眠時頭痛などではないことを確かめた上で診断する。高齢者では、脳出血などの疑いを考慮し磁気共鳴画像装置(MRI)検査や脳波検査などを行うこともある。

 予後は良好とされるが、恐怖や不安が募って症状を強く感じるようになると、睡眠障害につながる可能性がある。二次的に精神症状を引き起こして、不安障害やパニックの発作が表れる場合もあり、抗うつ薬や抗てんかん薬などによる治療が検討される。

 「症状があっても恐怖や不安がなければ、必ずしも受診する必要はありません。しかし、他の病気が原因である可能性もあるので、睡眠外来や脳神経内科などで検査を受けることをお勧めします。検査で異常がないことが分かれば、症状が軽快することもあります。恐怖や不安を伴う場合は精神科に受診を」と金子助教はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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