Dr.純子のメディカルサロン

喫煙とがん 大塚俊昭准教授

  ◇安易なサプリ頼りは危険

 海原 喫煙者には「サプリメントを飲んでいるから、がんの予防になる」という人もいます。がん防止でビタミンのCやEが有効ともいわれていますし、普段から野菜や果物を多く取ることや運動などが推奨されています。

 大塚 食べ物や運動によるがん予防に関してですが、肺がんに関してリスク低下が証明されているのは果物です。

 喫煙者にとっては、抗酸化サプリメントを摂取するとかえって肺がんのリスクを高める、という論文もあります。抗酸化サプリメントを飲んでいるから喫煙してもいい、と考えるのは危険です〔資料6〕。

資料6
 海原 やはり禁煙が基本なのですね。私もこの論文を読みましたが、かなり衝撃的な内容でした。この論文は米国人が対象なので、日本人についてはすぐ判断できるものではありません。しかし、2万人以上を追跡調査しており、「New England Journal of Medicine」という医学ジャーナルの中でも非常にクオリティーの高い専門誌に発表されたものです。安易にサプリメントに頼ることに警鐘を鳴らす調査であることは間違いないと思います。

 今回は喫煙者にはかなり耳の痛い情報になりましたが、統計学的な見地から貴重なご意見をいただきました。ありがとうございました。


大塚俊昭氏(おおつか・としあき)
1995年日本医科大医学部卒、2012年同大衛生学公衆衛生学准教授、15年から同大付属病院臨床研究総合センター長兼任。

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