Dr.純子のメディカルサロン

喫煙とがん 大塚俊昭准教授

 海原 喫煙者には「いまさらたばこをやめても遅いではないか」と考える人もいるようです。何年くらい禁煙するとがんのリスクは減るのでしょうか?

 大塚 たばこをやめるのは早ければ早い方がいい、とされています。20年以上経過すると、リスクは非喫煙者と同じになります。禁煙後10年から19年で1.8倍、9年以下だと3.0倍です。〔資料3〕

資料3

 海原 喫煙者と一緒に暮らす飼い犬もがんのリスクが高くなるという話を聞いたことがあります。喫煙者と同居する家族の受動喫煙によるリスクはどの程度なのでしょうか。

 大塚 喫煙する家族との同居期間が長いほどリスクは上昇します〔資料4〕。

資料4
 海原 20年以上同居すると2倍以上に増える、というのは怖いです。喫煙は家族にとっても健康上の負担になるということを喫煙者に知ってもらいたいですね。喫煙者の中には、喫煙は自分の責任であると同時に権利であり、禁煙条例は差別だと言う人もいます。でも、たばこを吸わない人の健康を守る責任や義務についても考えていただきたいと思います。

 日本では昔、「喫煙は大人の証」というイメージが強くありました。たばこや喫煙は「格好いい」という印象が根付いていて、特に年配の喫煙者は心理的にたばこをやめにくいのかもしれません。私が若い頃に流行した歌の歌詞も、たばこが男らしさを表すキーワードのようになっていました。

→「ハヤミミ」では「たばこのイメージ」を掲載しています。


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