治療・予防

子どもを薬物乱用から守るには=つらさを1人で抱えない教育を

 ◇自尊心の低さも背景

 薬物乱用に至る背景には何があるのか。「私が違法薬物禁止の講演後に行ったアンケートでは、1割程度の自傷行為経験者がいましたが、その子どもたちは自尊心が低い傾向があり、飲酒や喫煙経験者も多い。飲酒や喫煙の経験があると、大麻、覚せい剤へと違法薬物への心のハードルが下がるため、将来的な違法薬物使用リスクが高くなります」と松本部長。

 また、女性では、アルコールや薬物依存に至るリスクに10代の摂食障害がある。「自傷行為の経験者の中には、薬物を使うことに対しても『自分で自分の体を傷つけるだけで他人に迷惑を掛けてはいない』と考える子どもがいます」という。

 「自分には取りえが無い」などと自尊心が持てない子どもは、つらさ、生きにくさを抱えたときに人に頼ることができず、自分で解決しようと自傷行為に及んだり、違法薬物に手を出したりする。

 こうした子どもたちを救うには、「従来の薬物の危険性を教える教育だけではなく、つらさを1人で抱えてはいけないということを伝え、学校や地域などの相談窓口の充実を図ることも重要です」と、松本部長は訴えている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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