“血圧高め”も侮れず
~心血管疾患と関連(横浜市立大学 桑原恵介准教授)~
高血圧の基準に満たない、少し高めの血圧でも脳や心臓の病気を起こしやすいことが、横浜市立大学医学部(横浜市金沢区)公衆衛生学教室の桑原恵介准教授ら研究グループの調査で明らかになった。

自分でも血圧測定を
◇8万人を調査
高血圧とは、最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上であると定義されている。この状態が長く続くと血管が傷み、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を起こしやすくなる。
その前段階の「高値血圧」の基準は、最高血圧が130~139mmHg、最低血圧が80~89mmHg、さらに前の「正常高値血圧」は最高血圧120~129かつ最低血圧80mmHg未満。
こうした前段階の人で心血管疾患のリスクが高まる可能性については、日本人、特に比較的若い世代を対象としたデータはこれまでなかった。
桑原准教授らのグループは、関東・東海地方に本社がある十数社の従業員の協力を得て、調査当時20~64歳で、高血圧の治療中ではない約8万2000人を対象に、2012~21年の最大9年間、追跡調査した。
◇心血管リスクが2倍
参加者の勤務先や年齢、性別、喫煙習慣、糖尿病の有無といったばらつきを調整して分析した結果、調査開始時に少し高めの血圧の「高値血圧」や「正常高値血圧」だった人は、心血管疾患の発症リスクが正常血圧(最高血圧120/最低血圧80mmHg未満)の約2倍に上昇していた。開始時に高血圧だった人も、その数値が高いほど後の心血管リスクが高まった。
「血圧高めは『大したことはない』と思われがちですが、生活習慣や働く環境を改めて見直し、改善できることがないか考えてみてください」と桑原准教授。例えば、食事内容や運動の習慣、禁煙、自分の血圧を毎日測ってみることなどがある。
「高めの血圧をどの程度まで下げるかは、年齢や基礎疾患の有無によるので、産業医や各自治体にある保健センターに相談するとよいでしょう」
ストレスがたまらないような職場づくりも求められる。「事業所の管理者は、職場ごとの健康課題とニーズを把握した上で、長時間労働を見直すことや、希望者が平日の日中に医療機関を受診できるような雰囲気づくりを心掛けてほしい」と桑原准教授は助言する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2025/01/30 05:00)
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