治療・予防

白目の細胞が異常増殖
~翼状片、乱視の原因に(東京都済生会向島病院 村田和子医長)~

 白目の部分が黒目を覆って乱視などを起こす翼状片(よくじょうへん)をご存じだろうか。東京都済生会向島病院(東京都墨田区)眼科の村田和子医長は「決して珍しい疾患ではなく、失明に至るようなことはまずありませんが、再発しやすかったりするので注意が必要です」と指摘する。

白目の細胞が異常増殖する翼状片

白目の細胞が異常増殖する翼状片

 ◇紫外線が影響

 翼状片は、白目(強膜)の表面を覆う透明の膜(結膜)の下の細胞が異常増殖し、結膜が黒目(角膜)との境界を越え中心に向かって侵入していく疾患だ。その三角形の形状が鳥の翼に似ているため病名が付いたという。目頭の方から生じることが多く、年単位でゆっくり進行する。両目に発症するケースもまれではない。

 初期には白目が充血したり盛り上がったりするが、自覚症状はほとんどない人が多い。結膜が角膜に侵入すると、その表面はでこぼこになり乱視などを起こす。さらに進行して瞳孔に達すると光が網膜に届きにくくなり、視力障害を引き起こすが、失明や命に関わるような例はほとんどないという。

 原因は紫外線などの刺激が考えられるが、詳細は不明だ。「農業や漁業など屋外で日光を長時間浴びて仕事をする人に多く見られます。眼球へのダメージの蓄積によって発症する翼状片は高齢者に多く、小児には少ないです」

 発症頻度は紫外線が強い地域で高い傾向があり、鹿児島県奄美市で40歳以上の一般住民339人を対象に行われた調査で約25%に翼状片が見られた。沖縄県久米島町での同様の調査では約31%、さらに赤道に近い中国海南省での調査で約59%という報告もある。

 ◇良性の疾患

 治療は手術が主体だ。薬物療法として抗アレルギー点眼薬やステロイド点眼薬などが使われるときもあるが、手術以外の治療法は確立していない。手術しても再発しやすいのが特徴で、度重なる手術によって難治性になる可能性があるという。

 「翼状片は悪性の疾患ではないため、それほど進行していない場合は必ずしも治療は必要ありません。白目表面の盛り上がり、充血、黒目の濁りなどが気になる場合は眼科に受診を。予防として紫外線をできるだけ避けましょう」と村田医長は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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