緑内障7割は正常眼圧
~症状に気付きにくい(東北大学病院 中沢徹教授)~
緑内障は視神経が障害されて、視野が徐々に狭くなる目の病気だ。失明に至るケースもある。眼圧の高さが原因として知られるが、日本人の緑内障の7割は、眼圧が高くないまま進行する正常眼圧緑内障だ。
東北大学病院(仙台市青葉区)眼科の中沢徹教授は「緑内障は症状に気付きづらいため発見が遅れがちです。正常眼圧緑内障の診断には眼底検査を必要とするため、なおさら発見が遅れる結果を招いています」と話す。
ウオーキングなどで目の疲労解消を
緑内障は40歳以上の約5%に見られ、年齢が上がると有病率も上がり60歳以上では約10%に上るが、9割程度は未治療のままという報告もある。片方の視野の欠けた部分を、もう一方の目が補うために、自覚症状が出づらいなどが理由だ。
「たまたま目をぶつけるなどして眼科を受診した際に、早期の緑内障が見つかる例はありますが、視野に違和感を覚えて受診するケースでは、ほとんどが中期以降のかなり進行している状態です」
早期に発見して治療すれば生活への支障を減らせるが、職場などの定期健康診断では一般的に、視神経の状態を調べる眼底検査は基本検査に含まれないため、見つかる機会が少ない。
「たとえ眼圧を測る機会があって結果が正常値でも、緑内障を否定できるものではありません。高眼圧は最大のリスクですが、他にもリスクがあるので注意をしてください」。近視、低血圧、特に高血圧の薬を飲んで低血圧になっている人、冷え症、血流が悪い、睡眠時無呼吸症候群、血縁者の緑内障、ステロイドの使用なども危険因子になるという。
◇目の疲労解消が予防に
眼圧の高い緑内障と比べて、正常眼圧緑内障は悪化の速度が遅く、周辺よりも中央から見えづらくなるという違いがあるが、治療法は同じだ。「眼圧は1日の中で変動するため、日中、正常眼圧と診断されても、夜間高眼圧の人がいる他、治療に用いる点眼薬には視野を保持する作用、血流改善作用などが含まれているものもあるため、正常眼圧の人にも効果が期待できます」
緑内障の予防は日常的に目をいたわることだ。目の疲労は血流の悪さや眼圧の上昇を招くため、スマートフォンやパソコンの過度な使用も緑内障と無縁ではない。目の疲労を解消するには、遠くを見ながらウオーキングをして軽く汗をかくとよいという。入浴もお勧めだ。
「緑内障は早期発見が重要です。目に不調を感じた時はもちろん、40歳以上になったら定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けるようにしてください」と中沢教授はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/10/29 05:00)
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