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インフル厳戒、手洗い徹底を=流行のピーク控え、ワクチン出遅れ懸念

 ◇基礎疾患持つ人や高齢者は注意

東京医科大病院感染制御部長の渡辺秀裕教授
 東京医科大病院感染制御部長の渡辺秀裕教授は、17年の予防接種について「現状(11月時点)では、クリニックなどで接種希望者にワクチンが行き渡らないケースもあると聞く。いずれ十分に間に合うようになるのだろうが心配している」と話す。「感染者がじわじわと増え、年末年始に一気に広がり始めると、接種が間に合わず感染する人も出るのではないか。接種してすぐ抗体ができるわけでもなく、やはり空白の期間ができてしまう」と懸念を隠さない。

 インフルエンザに感染した場合、最初に出る自覚症状は鼻水やのどの痛み、そして発熱など。しかし発熱後すぐに医療機関に出向き、迅速キットで診断してもらっても「陰性」になることがある。家族など周辺に感染者がいない場合はさらに、風邪との区別がつきにくい。流行のはしりはインフルエンザと診断しにくく、風邪薬が処方されるケースも多いという。

 「インフルエンザに感染しても、解熱剤や、鼻水、せきを止める普通の風邪薬で治ってしまう人もいる」と渡辺教授。また、薬を飲まずに治る人もいるが、その一方で糖尿病や慢性呼吸器疾患、心疾患などの基礎疾患を持つ人や高齢者、妊婦が感染すると、重篤な症状を示すケースがある。

 子どもの感染では脳症などに発展する場合もあり、渡辺教授は「おやつを食べていたのに食べなくなったとか、遊んでいたのに元気がなくなるなど、様子が急変した時が発症のサイン。小さな子どもは言葉で説明できないので、見逃さないで」と注意を促す。


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