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インフル厳戒、手洗い徹底を=流行のピーク控え、ワクチン出遅れ懸念

 突然の高熱やせき、鼻水、吐き気、全身の倦怠(けんたい)感などに襲われる季節性インフルエンザ。日本では例年12月から流行のシーズンに入り、1月にはピークを迎える。変異を繰り返すウイルスに対処するためワクチンは毎年製造されるが、今年は予想外のトラブルで製造スケジュールが大幅に遅れ、供給量も例年に比べて少ないスタートになった。ワクチン不足は大都市で顕著に見られ、これに伴い接種時期も遅れている。手洗いの徹底など日々の予防が、例年以上に重要になりそうだ。

 ◇年明けまで響く「不足」

遅れが懸念されるインフルエンザ予防接種
 インフルエンザ対策の一環として、国立感染症研究所は毎年、国内ウイルス株の遺伝子解析情報などを踏まえて傾向を予測し、複数のワクチン株を選定。その上で、厚生労働省の通知決定を受けたメーカーが鶏卵を使ってワクチンを製造している。

 厚労省によると、今シーズンはA型2種とB型2種の計4種を選んだが、A型株のうちH3N2の増殖率が極端に悪く、途中で別の株に変更したものの製造スケジュールが1カ月程度遅れた。供給予定量(2017年10月時点で算定)は2634万本で昨年度の推計使用量(2642万本)と同水準だが、最大供給量に達するのは12月の第3週にずれ込む見通しになっているという。

 「ただ、流通ルートに乗り各地の医療機関に行き渡るには時間が必要。不足が完全に解消されるのは年明けになる」と同省担当者は明かす。

 ワクチン接種から抗体ができるまで、個人差はあるものの2週間程度かかるとされる。ピークに備えた接種は12月中旬までが望ましいが、東京などではワクチンが十分に行き渡らず、一部医療機関で接種の予約が取りづらい状況が年内いっぱい続くという。

 厚労省は医療機関やワクチンの卸業者に、在庫管理の徹底や流通の偏りを少なくする対策を急がせる一方、ワクチンの効率的な使用を要請。13歳以上の接種は12歳以下のように2回ではなく、「原則1回」にするよう求めている。


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