夏風邪、油断は禁物
治癒後もウイルス残存
いわゆる夏風邪は「アデノウイルス」や「ライノウイルス」などさまざまな病原ウイルスによって起こる。夏風邪を引くと、発熱や喉の痛みのほか、下痢、腹痛、吐き気などの胃腸症状が表れることがあるが、腸管ウイルスといわれる「エンテロウイルス」が原因である可能性が大きい。
▽感染者の多くは無症状
主に乳幼児がかかる手足口病やヘルパンギーナは、エンテロウイルス感染症の中でも特徴的な症状が表れる病気だ。感染して3~5日で口の中に発疹が出て、手足口病ではさらに手や足にも発疹が現れる。
エンテロウイルスは糞口(ふんこう)感染、接触感染、飛沫(ひまつ)感染で広がっていく。口から入ったウイルスはまず咽頭で増殖。その後、腸で増殖してさまざまな症状を引き起こす。治っても約1カ月間は体内にウイルスが残っているので、周囲への感染に注意が必要だという。
▽せっけんと流水で手洗い
エンテロウイルス感染症は毎年5月ごろから増え始め、ピークは7~8月ごろで、10月ごろになると終息する。同研究所の調査によると、ヘルパンギーナは毎年一定の患者数が報告されている。
一方、手足口病のここ数年の傾向を見ると、2011年、13年、15年と2年ごとに比較的発疹が大きくなる「コクサッキーウイルスA6型」の感染例が多くなっており、今年はこのウイルスの流行が予想されている。
「エンテロウイルス感染症はほとんどが良性で後遺症などの心配はありません。しかし、まれに髄膜炎や脳炎を起こすことがあるので、高熱が続いているとか、ぐったりしている場合はすぐに病院を受診してください」と吉田主任研究官は強調する。
現時点では、エンテロウイルス感染症には特効薬も有効なワクチンもないので、せっけんと流水による手洗いで予防を心掛けたい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/07/21 17:00)