医学生のフィールド

河北総合病院で働く初期研修医の『本音トーク』 イベントリポート

 学生団体メドキャリはコロナ禍で情報収集しづらくなった医学生のために、研修病院や先輩研修医の方々のご協力を得て、不定期でオンライン説明会&交流会を開催しています。第4回となる10月12日は、杉並区の中核病院である河北総合病院。和やかな雰囲気の中、話は尽きず、大いに盛り上がりました。トークの一部を紹介します。(文:杏林大学医学部4年 藤野桃子)

 参加していただいた研修医と指導医の先生の紹介
 ⮚    指導医:戸張先生(小児科医、臨床研修委員会副委員長)
 ⮚    研修医:堀江先生(東海大学出身・初期研修2年目)、高瀬先生(筑波大学出身・初期研修2年目)、檜山先生(筑波大学出身・初期研修1年目)、藤川先生(順天堂大学出身・初期研修1年目)、蔡先生(東京女子医科大学出身・初期研修1年目)
 ⮚    岡野さん(採用担当)

イベントの様子

 ◇河北総合病院ってどんな病院?

 岡野さん:杉並区の中核病院で唯一の総合病院です。杉並区に大学病院はなく、同等の規模・設備の病院もありませんので、杉並区の地域医療で中心的役割を果たし、臨床研修においても多くのcommon diseaseを診ることができます。始まりとしては、地域医療を担っていきたいという思いで、30床の内科小児科の病院として1928年に創立されました。民間医療機関としては、都内屈指の規模で地域の総合的な医療活動に取り組んでいる病院です。病床は407床で、年間8500台と都内屈指の救急車受け入れ台数を誇っています。

 研修医の受け入れは1948年から行なっており(当時はインターン)、研修施設としても歴史がある病院です。本院は壁面にツタが張っている年季の入った病院ですが、2025年には病院の建て替えを予定しております。

 ◇研修医の先生はどんな人たち?

 岡野さん:過去7年間の研修医の出身大学は、北から南、海外の大学まで、学閥はありません。

 堀江先生:研修医の先生は、医師としてのキャリアに関してだけでなく、人生の中でのやりたいことやビジョンが頭の中にある人が多いです。みんな向上心を強く持ちながらも、お互いにバランスをうまく取っています。初期研修医は1学年11人中3〜4人は女性です。

 戸張先生:2年間の初期研修を終えると、自分の意見を持って、きちんと自己主張ができる人が多いですね。

 ◇指導体制は?ハイパー病院なの?

 戸張先生:基本的には、自分で勉強して、つまずいたところを上級医の先生に質問していくというスタイルです。また、それに加えて、勉強会や研修医主体の内科カンファがあります。

 昔は上の先生が働いていたら自分も無給で働くような雰囲気があり、かつてはハイパー病院と言われてきましたが、時代の流れから少しずつ研修医の働き方が変わってきています。時代とともに制度が変わってきて、現在は当直も夜勤の形にしなければならない等、社会全体がハイパーの時代ではなくなってきています。

 そういう意味でも今の研修医は研修時間が限られてきていますので、やりたいことをすべてできない可能性があります。自分の進みたい希望診療科ややりたいことをある程度絞って、それに即した初期研修病院を選んだ方がいいと思います。何でもかんでもやってみるというのは難しい時代になっています。

 ◇当直明けの仕事はどうなってる?

 堀江先生:科によりますが、基本的には12時半前後までとなっています。でも、主担当医制なので自分の受け持ち患者や手術との兼ね合いで変わることもあります。いつまでもいると、上級医の先生から早く帰るよう言ってもらえてちゃんと休みは取れますし、午後までいると居づらい感じはあります。

 ◇研修先に選んだ理由は?

 藤川先生:僕は研修中にしっかり学びたいと思っていて、特に手技をたくさんできる病院を探していました。河北はハイパーな病院と聞き、1年前、病院見学に来た際に、今の2年生の先生たちが自立して働いているのを見て自分もそうなりたいと純粋に思って入りました。思っていた通り、採血や動脈穿刺から始まり、胸腔ドレーンができたりします。忙しいときもありますが、充実した生活を送っています。

 高瀬先生:見学に来たきっかけは、友人から河北が教育熱心でいいところだと聞いたからです。見学に来た際に、救急で働いている1年目や2年目の先生が積極的にバリバリ働いている姿が印象的でした。しかも忙しいにもかかわらず、とても楽しそうに働いていると感じました。また、教育担当の先生が、「河北で研修した研修医は医者として最低限のことを絶対できるようにする!」という強い信念を持って研修を組んでいるという話を聞いて、いい病院だなと思って選びました。

 堀江先生:女性として結婚や子育てや趣味も楽しみたいとかプライベートを充実させるには、まずは自分の人生の基盤となるものを確立させようと思いました。医師としてしっかりとした土台を作るには初期研修の2年間が重要だと考え、最初からきちんと勉強できるところを選びました。

 研修病院を選ぶとき、自分にとって手技が多い病院がいいのかどうかはわからなかったのですが、結果的に手技の回数を重ねることで自分の自信や他の仕事にもつながりました。手技が多いというのはポイントが高いと思います。

 ◆イベント後記

 指導医や研修医の先生、研修医の先生同士がとても仲がよく、和気あいあいで笑いの絶えない雰囲気が印象的でした。参加者からの質問にも丁寧に回答していただき、まさに『本音トーク』全開となったイベントとなりました。

 場所が研修医室ということもあり、普段の様子がよくわかりました。初期研修医22人の机が並んでいるこの部屋は、別棟の1階にあり、初期研修医の先生だけで自由に使えるということです。初期研修医の先生同士が仲良くなれるのはこの部屋にもありそうです。

 お忙しい中、ご協力いただきありがとうございました。(了)

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