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気管支肺異形成症(BPD)は、早産の新生児に特有の肺疾患で、酸素投与や人工呼吸などのサポートが必要となる。「時に在宅酸素療法が必要なケースもありますが、BPDによる日常生活の制限はほとんどありません」と大阪母子医療センター(大阪府和泉市)新生児科の平田克弥副部長は話す。
呼吸機能の低下を避けることが大事
▽肺の未熟さが原因
BPDは在胎期間が短く、肺が未熟な早産児ほど起こりやすい。特に妊娠28週未満の超早産児に多く、在胎期間22~23週では7~8割、24~25週では5~6割に認められるという。
出生後は新生児集中治療室で、未熟な肺を刺激しないよう、〔1〕酸素投与を最小限にする〔2〕人工呼吸管理の期間を短くする〔3〕薬で肺の炎症を抑える〔4〕肺や体の成長を促す栄養管理〔5〕感染症予防策を講じる―などに努める。予定されていた出産予定日前後になっても酸素投与や人工呼吸管理が必要な状態が続く場合、BPDと診断する。
退院後に在宅酸素療法が必要な場合もあり、重症例ではまれに在宅人工呼吸管理となる。平田医師は「BPDの小児患者では1~2割程度が在宅酸素療法を要する状態で退院します。しかし成長とともに、ほとんどは1歳くらいまでに不要になります」と説明する。
▽感染症予防と禁煙
BPDを発症しても日常生活に制限はないが、健常児に比べ平均的に呼吸機能は弱い。一般に呼吸機能は20歳前後でピークに達し、その後低下するが、BPDではピーク自体が低い可能性もある。また、乳児期の呼吸器感染症やたばこの煙による、さらなる呼吸機能の低下に注意する。「特に退院後の1~2年はしっかり管理することが大切です」
周囲の大人は、正しい手洗い、人混みを避ける、インフルエンザワクチンの予防接種を受けるなどで、子どもへの感染を防ぐ対策を講じた上で、受動喫煙を避けるために禁煙が必要だ。
注意したいのは、乳児期のRSウイルス感染症だ。小児期以降はほとんどが「通常の風邪」で済むが、乳幼児期に発症すると肺炎などで重症化しやすい。平田医師は「BPDの乳児には、RSウイルス感染症流行期の間、月1回の予防注射を必ず受けさせてください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/05/08 05:00)
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