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炎症性腸疾患(IBD)は、クローン病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)の二つの病気の総称で、どちらも難病に指定されている。患者は年々増えているが、専門的な治療を行う医療機関はまだ少ない。
開業当時からIBDの専門外来を開設している、ほりた内科・胃腸内視鏡クリニック(東京都板橋区)の堀田伸勝院長は「しっかりと治療をすれば普通の生活が送れます。決して悲観しないでください」と語る。
進学・就職を諦めず主治医と二人三脚で
◇病気を気にしてしまう
IBDは、国内に約30万人(UC約22万人、CD約7万人)の患者がいるとされる。10~20代と比較的若い世代の発症が目立つが、乳幼児期や60代以上の発症も時に認められる。
UCは大腸の粘膜に、CDは、大腸も含む、口腔から食道、胃、小腸と全身の消化管に炎症が起こる病気で、ともに下痢などの症状を伴う。重症化すると栄養の吸収が阻害され、栄養障害に陥ることもある。原因は詳しく解明されていないが、免疫系の異常や食生活の欧米化、感染症や腸内細菌の変化など、複数の要因が重なって発症すると言われている。
特に10~20代は進学や就職など人生の大事なイベントが数多くある。堀田院長は「あらゆるシーンでIBDがネックになり、先に進めなくなってしまうこともあります」と話す。
◇主治医と二人三脚
IBDの診断では、血液検査の他にレントゲンや便の検査、大腸内視鏡検査、必要に応じてCT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像装置)、小腸内視鏡検査などを行う。消化管の組織を一部採取して顕微鏡で調べ、総合的に判断して診断する。
大事なのは、症状が悪化し始めたときだと堀田院長は強調する。「患者数の多いUCは、ストレスや食生活がきっかけで悪化するケースがあり、腹痛や便が緩いなど悪化の兆候が見られたら、脂っこい食事や辛い食べ物を避け、仕事を調整するなどの対応が必要です」。可能な限り学校や会社に病気のことを正確に伝え、理解を得ておくことも重要だ。
同院では、IBD患者の栄養指導にも力を入れており、成分栄養剤で必要な栄養を補い、タンパク質や炭水化物の適切な摂取など、カロリー不足に陥らないよう指導している。
IBDの治療は、重症度や炎症の部位により、飲み薬、座薬、点滴を使い分ける。近年、生物学的製剤などの新薬が登場し、入院が必要だった患者の多くが外来で治療できるようになった。
堀田院長は「IBDだからと進学や就職を諦める必要はありません。再燃や悪化しないよう治療を継続し、病状の安定を図っていきましょう」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/05/13 05:00)
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