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更年期の症状を「我慢すれば乗り切れる」と考えるのは一昔前のこと。「今は自分に合う治療を積極的に取り入れてコントロールしていく時代です」と愛知医科大学(愛知県長久手市)産婦人科の若槻明彦教授は話す。
更年期障害の治療法
◇約8割が未受診
女性では閉経前後の各5年間を合わせた約10年間を更年期といい、ホットフラッシュ(顔のほてり、のぼせ)、発汗、動悸(どうき)、関節痛、いらいらなどさまざまな症状が表れやすくなる。原因はエストロゲン(女性ホルモン)の減少やそれに伴う自律神経の乱れだが、発症には社会的因子(職場や家庭の人間関係など)や性格的要素(真面目、くよくよしやすいなど)などが複合的に関与するとされ、症状の表れ方は個人差が大きい。
厚生労働省の「更年期症状・障害に関する意識調査(2022年)」によると、更年期症状を自覚しても約8割の女性は受診していない。「受診するほどではない、我慢できる、時間がない」などがその理由だが、離職や離職の検討など仕事に悪影響があった女性は約15%に上り、離職による経済損失は4000億円超という調査もある。「更年期の女性の健康管理は社会的な課題です」
また、エストロゲン減少による影響は更年期症状だけではない。「閉経後、骨量は確実に低下し、動脈硬化を引き起こす悪玉コレステロールが増加することが分かっています」。閉経から10年後、20年後に骨量低下による骨粗しょう症や骨折、動脈硬化による心臓病などのリスクを減らすには、更年期のタイミングで自分の健康に目を向けたい。
◇専門医に相談
症状や健康面で気になることがあれば積極的に受診しよう。受診先に迷ったら日本女性医学学会が認定する女性ヘルスケア専門医を探すとよい。更年期障害(症状が重く日常生活に支障を来す状態)と診断された場合、治療の柱になるのは不足したエストロゲンを補うホルモン補充療法だ。ホットフラッシュなどの改善に効果的な他、「骨量の増加などが確認されており、女性の健康寿命の延伸につながる可能性も期待されています」。乳がんの発症率が高まるなどの副作用を心配する人もいるが、薬を上手に選択すればリスクは軽減できるという。
ホルモン補充療法以外では漢方薬やエストロゲンに似た作用のあるエクオール(サプリメント)なども。また、「食事や運動不足に気を付け規則正しい生活を送る、趣味を持つ、家族(特にパートナー)に更年期を理解してもらうなども症状の軽減に役立ちます」と若槻教授は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/09/10 05:00)
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