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将来の妊娠を考えながら女性やカップルが健康管理を行う「プレコンセプション(妊娠)ケア」が注目されている。その一つがワクチンによる病気予防だ。横浜市立市民病院母子医療センター(横浜市神奈川区)の倉沢健太郎センター長に、プレコンセプションケアとしての予防接種の意義を聞いた。
妊婦に接種可能なワクチン
◇妊娠中のワクチン接種
妊娠中やその可能性がある場合、医師と相談の上でワクチン接種を検討することが重要だ。「妊婦の場合、生ワクチンの接種は受けられないですが、不活化ワクチンは通常可能です」。妊娠中に接種できない風疹などのワクチンは、自分の接種歴や罹患(りかん)歴などを確認した上で、妊娠前に計画的に接種することが望ましい。
「インフルエンザや新型コロナウイルスのワクチンは妊娠中でも接種可能です。妊婦のウイルス感染は母体の重症化、胎児の感染や流産、早産のリスクとなることがあるため、ワクチン接種による予防が重要です」
ただし、妊婦がワクチン接種を受けることに対する心理的なハードルは高い。ワクチンの有効性と安全性に対する疑問や、何かあったらどうするのかという不安、ためらいなどがある。「費用負担などの課題もあり、適切な接種を進めるための支援が必要だ」
◇新生児の感染を予防
新生児に対しては、生後2カ月から多くの感染症に対する定期予防接種のスケジュールが組まれている。一方、妊婦が接種することで胎児に移行する抗体を増やし、出生時から乳児のウイルス感染を予防する効果がある母子免疫ワクチンが近年、着目されている。
百日ぜきのワクチンの他、今年6月からはRSウイルスのワクチン接種が可能となった。RSウイルス感染症は年齢を問わず感染することが多く、大人であれば軽い風邪症状で済むことが多いが、新生児や乳児では重症化することがある。妊娠24~36週に母親がRSウイルスワクチンを接種することで新生児の感染を防ぐ効果がある。
「小児科と異なり、産婦人科ではワクチン接種の機会が少なく、接種をちゅうちょする医療関係者や妊婦は少なくありません。正しい情報の提供や、接種を希望する妊婦が適切な時期に接種できる体制の整備も進めていく必要があります」と倉沢センター長は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/10/04 05:00)
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