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血液がんの一つ、急性骨髄性白血病(AML)。再発した難治性では有効な治療が乏しかったが、近年、関連遺伝子の解明が進むとともに新薬の開発が相次ぎ、治療成績が向上しているという。大阪公立大学医学部付属病院(大阪市阿倍野区)血液内科・造血細胞移植科の西本光孝講師に話を聞いた。
急性骨髄性白血病の主な自覚症状。他の病気でも見られる
◇抗がん剤や移植困難
血液のもとになる造血幹細胞が、白血球や赤血球などに枝分かれする過程で遺伝子変異によりがん化し(白血病細胞)、無制限に増殖するのが主な原因。白血病全体としては、年間約1万4000人が罹患(りかん)し、5年相対生存率は44%だ。
「若年者から高齢者まで幅広い年代で発症しますが、最近は高齢者の患者数がかなり増加しており、社会の超高齢化も要因の一つと考えられます」と西本講師。
AMLは血液がんのため、外科手術ではなく、抗がん剤を用いて白血病細胞を破壊する化学療法が主となる。複数の抗がん剤を組み合わせる寛解導入療法では、70~80%の患者で白血病細胞がほぼ消え、症状がなくなる寛解に至る。5年程度経過しても再発がなければ治癒と見なされるが、一部の患者は再発し、ドナーから提供された造血幹細胞を移植する同種造血幹細胞移植が必要になる。
一方、高齢者については「すでに基礎疾患があったり、健康でも心臓や肝臓などの臓器が強力な化学療法に耐えられなかったりして、化学療法や造血幹細胞移植が行えないケースが多いです」。
◇生存率や免疫効果高まる
そのような中、近年登場した新薬ベネトクラクスが注目されている。高齢AML患者にベネトクラクスと別の薬剤を併用したところ、薬の効果の得られやすさ(奏功率)や生存率が改善され、副作用の比較的少ない有効な治療薬として位置付けられた。
また、西本講師の研究グループでは、同種造血幹細胞移植後に再発した若年AML患者を対象に同薬を投与した結果、生存率が改善され、白血病細胞を攻撃する力(免疫効果)が高まることを示した。今年5月には新しい薬剤ビキセオスが、一部の高リスクAMLにも使えるようになった。
AMLの自覚症状は、めまい、だるさ、動悸(どうき)、息切れなどの貧血、出血傾向(出血しやすい、血が止まりにくい)、感染症へのかかりやすさ、発熱だ。「ただ、これらは他の病気でも見られる症状です。健康な人でも体調不良があれば血液検査を行い、年1回の健康診断の受診が早期発見につながるでしょう」と西本講師はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/11/26 05:00)
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