一流に学ぶ 「美と健康」説くスポーツドクター―中村格子氏

(第6回)
一流選手とお年寄りの共通点
予防して健康寿命を延ばす

 

 ◇「きれい」=「健康」に読者の共感

 この本には、中村氏自らモデルとなって、エクササイズのお手本を見せるDVDが付録で付く。「2週間で-10歳」というサブタイトル。「1日10分の簡単なエクササイズを2週間続けるだけで、目に見えて体形に変化が表れる」と、女性たちの琴線に触れるメッセージを送った。

 

2011年にNHKEテレ「きれいの魔法」に出演した時の中村格子氏
「私は国家予算を大きく減らすためにも、もっと国民の健康の底上げをしたいと言ったのですが、出版社の人は『健康よりも、どうやったら若く見えるかというメソッドを書けば売れる、本は売れてナンボだから』と言う。きれいになるというモチベーションでも健康になれば成功だから、それでもいい、と思うようになりました」

 その後、続々と出版した本のタイトルも「美脚」「美尻」など見た目の美しさを前面に出したものが多いが、本の中身を読めば「健康寿命を延ばしたい」という中村氏の意図は伝わってくる。しかし、本の中身を読んでいない整形外科の同業者からは「ダイエット本を出すとは、整形外科の風上にも置けない」などと批判されることもあった。

 「すごく悲しい思いもしました。でも、きれいになる=健康ということでもある。それに共感してくださる読者の方が多いですね」

 その後、続々と本を出版、テレビ出演の機会も増えていった。(ジャーナリスト・中山あゆみ)


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◇中村格子氏プロフィルなど



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